2025年4月11日金曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 130

あすぴょんさんと別れた後、電車を乗り継いで京浜東北線に乗車した僕の頭の中は、忙しかった。まるでレコードのように、ちゅる……ちゅる……ちゅる……と、あすぴょんさんが麺を啜る音が延々にリピートされるのだ。それに加えて何故か負の感情が刺激されて、将来への不安や、婚活がうまくいかないもどかしさが襲ってくる。自分自身を鎮めるのに精一杯になっていた僕は、蒲田駅に到着したことに気づかず通過。ハッとした時は鶴見駅で、うっかり乗り過ごしてしまった。
 

2025年4月9日水曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 129

ラーメンの麺を一本一本、ゆっくりと啜るあすぴょんさん。麺が冷め切っても伸び切ってもお構いなしに、たっぷりと時間をかけて食べ終えた。多分、約30分程かかったと思う。その間、あすぴょんさんが完食するまで辛抱強く待っていた僕は、なんとか話題を捻り出して会話を繋いだ。しかしあすぴょんさんの細かな言動が気になってしまい、心が無性にザワザワしてしまった。例えば。ちゅるちゅという麺を啜る音もそうだが、ハムスターのように頬を膨らませてもぐもぐするクセとか、長い髪を結ばずに垂らしながら食べる姿とか、スープに毛先が入りそう……というか入っているのに気にならない様子とか。
 
……なんかもう、心が折れてしまった。
 

2025年4月7日月曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 128

ラーメンの麺を一本一本啜っている……だと……? 
 

2025年4月4日金曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 127

あすぴょんさんに専業主婦の話を切り出されて初めて、僕は、僕が専業主夫になるかもしれない可能性が頭の片隅にちらついた。これまで微塵も、自分が専業主夫になる可能性について考えたこともなかった。しかし、仮に僕が縁あって、結婚できたとしよう。そして万が一家庭の事情で、夫婦のどちらかが仕事をやめて家庭に入らなければならない状況になった時。もし妻に「仕事を辞めたくない」と言われたら、僕は素直に「じゃあ僕が家のことするから任せて」と言えるんだろうか。そんなつもりはなかったはずなのに、心のどこかで、"家事は女性がするもの、仕事をやめるなら女性"、と思っている自分が、少なからずいることに気がついた。
 

2025年4月2日水曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 126

"埼玉県への移住話"を打ち切るために、僕は慌てて席を立った。レジ前でメニューを眺めて何を注文するか考えあぐねていたが、実際は何も食べたくはなかった。元々お腹が空いていない胃袋には、既にホットドッグが収まっている。人よりちょっとだけ食べるのが得意だという自負はあるが、今はどうしても無理にドーナツを捩じ込む気にはなれなかった。とはいえあすぴょんさんに「おかわりをします」と言ってしまった手前、何も買わずに戻るわけにはいかない。僕は、ポンポンしたリングのドーナツとコーヒーを注文し、重い足取りで席に戻った。