2026年5月29日金曜日

40代男が婚活バスツアーに行ってみた16

お忘れかもしれないが、今回僕が参加した婚活バスツアーのコンセプトは、
 
 "30代後半から40代のおひとりさま限定!動物とふれあおう!癒しのもふもふ散策と絶品ワインとBBQランチを堪能!" である。
 

BBQランチ……バーベキューど素人の僕は、てっきり一から炭をおこしてお肉を焼く的な、サバイバル系のバーベキューを想像していた。しかしどうやらそうではないらしい。
 
「ではこちらのレストランで、昼食タイムとなります。自由時間です。お好きなお食事を購入して、お好きな席にお座りください」 
 
パーク内のレストランに移動した瞬間、女性添乗員さんにそう告げられた。所謂サバイバル系のバーベキューを覚悟していた僕は、婚活バスツアー参加者達にはなかなかヘビーな、ファミリー感満載のフードコートに入店して困惑した。
 
バーベキューはどこ?網は?炭は?メニューを隅から隅まで見ても、ワイルドに肉を食らう的なバーベキュー要素は一切ない。唯一見つけたバーベキューといえば、ステーキ丼……だろうか。 "30代後半から40代のおひとりさま限定!動物とふれあおう!癒しのもふもふ散策と絶品ワインとBBQランチを堪能!"て言ってたのはなんだったんだ?
 
カレーライス、うどん、ラーメン……といった、月並みなフードコートのメニューを見上げていた僕は、すっかり周囲の動向に鈍感になっていた。ふと辺り一面に、ふわふわした空気が漂っていることに気づき、はっとする。
 
やばい。"何故お前らは婚活バスに乗ったんだ的なデキる男たち"が、スマートに女性を誘っている。バスとは違い、食事中は席が決められておらず、完全自由。どこに座ろうが、誰と座ろうが、思いのままだ。デキる男たちはここぞとばかりに女性に声をかけ、ランチデートを決め込んでいる。
 
バーベキューに気を取られていた僕は、パーキングエリアでの無能っぷりと同様、 誰にも声をかけられずにいた。呆然と立ち尽くしている状態だ。このままだとおひとり様ランチになりかねない。どうしよう。
 
しかし、たった5分の自己紹介タイムでは、どうしても一緒に食事をしたいと思える女性はいなかった。いなかった……というと上から目線のようだが、そういうことではない。なんというか……どうしていいかわからなかったのだ。車内で会話をした女性に声をかけようと思ったが見当たらなかったし、手当たり次第声をかけるのも女性に失礼だし……情けないが自分に言い訳をしていた。
 
そうこうしていると、 人のことは言えないものの、本当にお前鏡見てきたのか?と言いたくなる方、体質は仕方ないけどまずは汗拭こうぜと言いたくなる方、母ちゃんが買ってきた服を何の疑問も持たずにそのまま着てきただろという方、なんでこれからバス乗るって時に立ちながらパン食ってんだよという方……的な外見の男性たちが、女性そっちのけで意気投合し、友情を育み出した。
 
お前ら、本当に何しに婚活バスツアーきたんだよ!!! 
 
しかし誰にも声をかけられずに、一人呆然と立ち尽くしている僕としては、男達の一致団結した姿が羨ましかった。正直もう周囲からダサい認定されてもいいから、僕も彼らの仲間に入りたい。
 
……だが、それでは婚活バスツアーに参加した意味がない。
 
「……あの、すみません。もしお一人でしたら、お昼ご一緒しませんか……」 
「あー……、大丈夫でーす」  
 
ダメ元で僕は、一人でメニューを見上げている女性に声をかけてみたが、当然撃沈。そりゃそうだろう。その女性がバスツアー参加者だということは知っていても、自己紹介タイムで話したこともなく、完全初会話。警戒されて当たり前だ。
 
「すみません、ホピ沢さんでしたっけ」
「え?はい」
 
羞恥心でいっぱいになっていると、突然声をかけられた。
 
「先ほどはありがとうございました」
 
なんとそこには、 先ほどバスで嘔吐してしまった女性が立っていたのだ。
 
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