2026年5月15日金曜日

40代男が婚活バスツアーに行ってみた12

ムラマツさんとバスに戻った僕は、パーキングエリアに下車する前に座っていた席……つまりヒダカさんの隣に座った。どうやらヒダカさんは、休憩中一度もバスから降りなかったようだ。一心不乱にスマホの画面を見つめながら、迅速な手捌きでタップしていた。「失礼します」と僕が隣に座っても、無視。おい、ヒダカ!お前一体何しに来たんだよ!
 

「これよりバスは目的地に向かって出発しますが……戻ってきてない方いませんね?大丈夫ですか?隣同士でいらっしゃらない方は……いませんよね!では発車します。再び自己紹介タイムでーす」
 
当初よりも大分口調が砕けたバスガイドさんの導きの下、再び自己紹介タイムが始まった。反応がないことはわかっていたが、一応ヒダカさんに会釈をして次の席に移動する。相変わらずヒダカさんは、無愛想。心が折れそうになったものの、こういう女性もいるよな、と自分に言い聞かせた。
 
「ホピ沢さーん、先ほどはお世話になりました」 
 
次の席は、なんとパーキングエリアのお土産売り場で、背後から話しかけてきたムラマツさんだった。一緒にバスに乗り込んだのに何故お前はムラマツさんの席の位置を把握していないんだよ、と自分にツッコミを入れつつ、僕は一言声をかけてからムラマツさんの隣に座る。ふと見ると、ムラマツさんのスマホケースには、なんか小さくてかわいいやつのシールがたくさん入っていた。
 
「本当にお好きなんですね。なんか小さくてかわいいやつ」
「はい、大好きです。グッズも集めてて。パーキングエリアには、ご当地系のグッズがあるんで。さっきはチェックしなきゃって必死でした」
「次から次へとグッズが販売しているイメージなんですが、グッズ集めるのも大変じゃないですか?抽選販売とかあるんですよね?」 
「そうなんですよ!大人気なので買えないことの方が多くて……もう毎日命懸けですよ」
「そうなんですね」 
「大変なこともありますが、大好きなので。いつでもどこにでも一緒なんですよ」
 
いつでもどこでも一緒……?もしかして……ぬい活的な……?
 
ふとDさんのことが頭を過ぎった。なんだか嫌な予感がした。 

「これ、私のお気に入りなんですけど……可愛いですよね。よく一緒にお出かけとかしてるんです」
 
案の定……ムラマツさんは、なんか小さくてかわいいやつのぬいぐるみを取り出した。 ハチのワレだ。
 
「いろんな景色とか、いろんなご飯を一緒に見たり食べたりしてるんですよ」 
 
僕は、どうしようもなく震えた。
 
Dさんのぬいぐるみの件で、ぬい活にはトラウマがあるのだ。

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