オオハシさんの独壇場だった5分間はあっという間に終わり、次の席に移動した。申し訳ないが、3人目の方は……ほとんど印象に残っていない。自分のメモ帳を見返してみても、"優しそう"と書いているだけで、他の特徴が記されていなかった。
4人目の方のこともあまり覚えておらず、メモ帳には"元気がなさそう"と書いてあるだけだった。"元気がなさそう"ってなんだよ、と思ったが、おそらくろくに会話もせずに終了したのだろう。5分間というのは、長いようで短い。
そうして、5人目の方が座る席に移動した。添乗員さんの合図で、「こんにちは。ホピ沢です。よろしくお願いします」と名乗る。5人目の女性は、ヒダカさんという方だった。黒髪ロングヘア、少しふくよかで、物静か。某アニメのグッズを取り扱うお店にいそうな雰囲気。僕の見間違いかもしれないが、薄ら笑いを浮かべていて、少々不気味だった。
「動物はお好きなんですか?」
「まあ」
「……」
「……」
「お仕事は……」
「ただの事務ですけど」
「……」
「……」
僕が話しかけても、そっけない返事ばかり。それどころか、自ら会話を振ろうともしない。人見知りなのかもしれないが、せめてブツっと会話をぶった斬るような返答の仕方は、考えてほしいなと思う。これでは、意思疎通が図れない。周囲が大いに盛り上がっている中、僕とヒダカさんは沈黙状態だった。
おそらく僕に興味がなく、嫌悪感を持っているのだろう。こういう時は無理に話さずに、無言のまま時間をやり過ごそう。 そう思った時だった。
「お腹空きましたね」
ヒダカさんがそう話しかけてきたのだ。