「42歳までなのに、45歳のおばさんが参加しちゃっても大丈夫ですか?よかった!嘘でも年齢は関係ないですよって言ってくれて嬉しいです。ここだけの話、ホピ沢さん以外の他の男性参加者の方には、"うわあ45歳かよ"って顔されたんですよ。まあしょうがないんですけど。でも年齢を隠さずに正直に45歳だと伝えてるので、ちょっと許してほしいなあって。あはは、こういう図々しい考えがおばさんなのかな。でも結構勇気が必要なんですよ?年齢だけはしっかり重ねてますけど、こう見えても私、かなり臆病で人の顔色伺うタイプなんで!」
「あ、韓国ドラマのこと聞いてくれましたよね?こう見えて……っていうか言わなくてもわかるか!45年生きてるんで、そんじょそこらの女の子よりはずっと韓国ドラマ暦は長いですよ!興味本位で母と冬ソナを観たのが始まりで、そこからもう20年以上韓国ドラマ観続けてるんですけど。ヨン様フィーバーの時は空港に行ってヨン様をお出迎えしてましたからね」
「……ヨン様ファンが空港に集まっているのは、テレビで観たことがあります。行かれたんですか?」
「そりゃあファンですからね、当然行きます。他にも好きな俳優さんのお迎えは必ず行ってましたよ!まあでも今は無理かなあ。当時は私も若かったんでアクティブでしたが、最近はだめですね。疲れちゃって。そう思うと、あの頃のヨン様ファンのおばさま達のパワーはすごかったなあ。私なんか全然って感じで。年取るの本当嫌ですよね」
「はあ……」
「ちなみに好きな韓国ドラマは……っていうか、ホピ沢さんは韓国ドラマ観るんですか?観ない人にドラマのタイトル言ってもわかんないですよね。えっとXXって俳優さん知ってます?超かっこよくて、日本に何度も来てファンイベントしてくれる方なんですけど!」
……僕が一言尋ねても尋ねなくても、この通り。一言えば十……いや、百返ってくる。Dさんの熱量たっぷりなトークはほぼノンストップで繰り広げられており、その饒舌っぷりは本当にすごいのだ。情報量もなかなかのもので、とても全てを把握しきれず、僕は聞き逃さないように必死にしがみついていた。おまけに早口。だから時々何を言っているのか理解できないこともあり、そういう時は、"へえ〜"とか、"すごい"で乗り切った。
しかし。確かに好きなものを語る時は早口になりがちだしそこは仕方ないが、Dさんの早口は僕に説明してくれているというよりは、自分のために説明している感じだった。とにかく話したいことがありすぎて、でも上手く話をまとめられず、結果要領を得ない内容になってしまう。だから何を言いたいのか、結局よくわからない。そういう話し方なのだ。周囲を置いてけぼりにしていることにも気が付かず、自分さえよければそれでいいという強い自我も伝わってくる。女性は話好きの方が比較的多いとはいえ、ちょっとDさんは度が超えていると思った。
「今の若い子たちの韓国熱もすごいですよね。45歳のおばさんには真似できないというか。でも、若い子にはないおばさんパワーはありますけどね!」
あと、その"45歳"アピール……。
予防線の自虐だとは思うんですけど、結構こっちも反応に困るので……やめてくれませんか……。