2025年6月18日水曜日

40代男が婚活パーティーに行ってみた14

蒲田の隣である大森在住のBさんの個室を名残惜しい気持ちで退出した僕は、なんだか気持ちが高揚していた。単にBさんが隣町の大森在住で、親近感を持っただけだからかもしれない。しかし僕は、自身が口下手な割に、15分間一度もBさんと気まずくなることなく、会話がスムーズにできたなという満足感があった。ワキガのAさんとも、なんやかんやで滞りなく話ができたと思う。だから僕は、すっかり油断していたのだ。
 

スタッフの方の合図で、僕は次のお相手であるCさんの個室に入室した。
 
「失礼します。こんにちは、ホピ沢と申します。本日はよろしくお願いします」 
「あ……ああ……どうも。Cです……」
「Cさんはラーメンがお好きなんですね!ラーメンはよく食べに行かれるんですか?」
「よくは……べつに……」
「何系のラーメンがお好きなんですか?」
「……何系って言われても……」
「僕もラーメンが好きなんですけど、よく食べに行くのは家系ラーメンです。家系ラーメンはご存知ですか?」
「……」←愛想笑いを浮かべるだけのCさん。
「……」←返答を待つ僕。
……」←愛想笑いを浮かべるだけのCさん。

あれ……?今僕、「家系ラーメンはご存知ですか?」って質問したよね……?
返事を待ってていいんだよね……?
 
「……」←愛想笑いを浮かべるだけのCさん。
「……」←返答を待つ僕。
……」←愛想笑いを浮かべるだけのCさん。

あれ……?これって何の時間……?
 
Cさんは口元に謎の愛想笑いを浮かべるだけで、一向に声を発してくれないのだ。加えて自ら会話を振ろうとする気配も感じられない。どうしてなのだろう。僕の質問は、質問として捉えてもらえなかったのだろうか。さすがにさっきまで高揚していた僕の気持ちも、どんどん冷えていく。 

「Cさんのお仕事は……歯科衛生士さんなんですね。都内で勤務されてるんですか?」
「……」←愛想笑いを浮かべるだけのCさん。
「お仕事大変ですか?」
「そうでも……?」 
「……」←次の言葉を待つ僕。
「……」←それ以上は何も言わず愛想笑いを浮かべるだけのCさん。
 
……本当にこれって何の時間なのだろう。
 
事前に知らされているプロフィールによると、東北出身のCさんは38歳の歯科衛生士。折れそうなくらいの細身、ゆるくパーマがかかった黒髪ロング、複数のピアスで賑わった耳元、涼しげな目元。クールビューティーというのだろうか。ステレオタイプなことを言うが、海外留学を経験していそうというか、海外に在住している日本人女性の雰囲気を感じさせる外見だった。また暑くも寒くもない季節なのに、まるで冬のように随分と厚着しているのが印象的だった。

 にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ