もう会うことはないだろうと思っていたサリーさんに、再び会うことになってしまった。 しかし前回と違うのは、今回は駅で用を済ませたらさようなら、というスタイル。サリーさんと顔を合わせるのは、これが最後になるだろう。そう思うと特に気負うことなく、平常心で約束の日を迎えられた。
だが僕の冷静な気持ちとは真逆、当日の天気は最悪だった。朝から一日中大雨で、止むことなく降り続いている。おまけに悪天候の所為で交通機関にも影響が出ており、電車が遅れていた。いつもより早く出勤したため、幸い問題はなかったものの、帰宅ラッシュの時間帯は地獄を見る可能性がある。
こういう時は、余計な行動はしないに限る。
"おはようございます。ご存じかもしれませんが、この大雨の影響で交通機関に遅れが出ているそうです。悪天候ですし、帰宅できなくなると大変ですから、別日にお会いするのはどうでしょうか"
僕はサリーさんに延期を申し出た。急ぎの用件ではないので、どうしても今日である必要はないし、大雨を理由にこのままなかったことになってもいいかな、という気持ちだった。
しかしサリーさんの考えは、僕とは違った。
"お気遣いありがとうございます。でも私は雨でも全然気にしないので、大丈夫ですよ!予定通り会いましょう"
おい、サリー!そうじゃねーだろ!お前が雨を気にするしないとか、そんなことはどうでもいいんだよ!こっちは、交通機関が乱れるほどの大雨の日に会うべきじゃないって話してんだよ!
メッセージを読んだ僕は、眩暈がしそうになった。