2026年8月21日金曜日

40代男が婚活バスツアーに行ってみた39

「では皆さん。お疲れのところ申し訳ありませんが、自己紹介タイムを再開したいと思います。これまたお手数ですが、お隣の方と自己紹介が終了する度に、男性の方は座席のご移動をお願いします。具合の悪い方は事前にお知らせくださると助かります」
 

バスガイドさんは注意事項として、「具合の悪い方は事前にお知らせくださると助かります」と言ったつもりだろうが、このアナウンスに車内で嘔吐してしまったナガタさん(嘔吐) は、反応してしまった。申し訳なさそうに俯いて、気配を消そうとしている。追い打ちをかけるようにどこからか「そういえばさっき具合の悪い方いたよね?」と声があがったため、ますます落ち込んでしまった。
 
「もしお好きでしたら、これどうぞ。未開封です。では失礼しますね」←僕
 
ナガタさん(嘔吐) のしょんぼりした姿が居た堪れず、僕は持参していたミントのガムを手渡した。気休めかもしれないが、ミントのガムは車酔いの対策になるそうだし、気分転換にもなるだろう。別にいい人ぶりたいわけではないけれど、目の前に意気消沈している人がいたら、多くの人が僕と同じような行動をとったはずだ。
 
ナガタさん(嘔吐) に別れを告げて一つ前の座席に移動した。 
 
「こんにちは……よろしくおねが……?」 
 
なんとナガタさん(嘔吐) の一つ前の席に座っていた女性は、寝ていたのだ。しかも口は半開き。いびきではないが、寝息というか、よくわからない小さくも大きくもない音が鼻から鳴っている。堂々と爆睡を決め込んでいる姿に、僕は絶句してしまった。疲れたのはわかるけども……。
 
「……ホピ沢です」 
 
一応名乗ることだけはしておいたが、当然無反応。どんな場でも動じずに寝られる肝っ玉が羨ましい。そういうわけでこの方とは、一切交流できずに終了した。
 
そして時間になり次の席に移動した瞬間…… 
 
「あの……さっきわんちゃんハウスで出禁を言い渡されてましたよね?」
 
挨拶する前に、窓側に座る女性にそう切り出された。 

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