結局僕は特に何かするでもなく、集合時間までただ黙ってベンチに座っていた。情けないが、出禁を言い渡されたことで心が折れてしまったのだ。放心状態だった。そして疲れていた。
「皆様おつかれさまでーす。もふもふタイムは楽しめましたか?さて、バスはこれからXXを通って帰路につきたいと思います」
バスガイドさんが点呼を取り全員がいることが確認できると、バスは発車した。ちなみに席は、到着時と同じ場所。僕の隣は、ナガタさん(嘔吐)だ。すぐ後ろには、ムラマツさん(ぬい活)。軽く会釈をして座ると、隣に座るナガタさん(嘔吐)が話しかけてきた。
「お疲れ様です。ホピ沢さんはどこに行かれたんですか?」←ナガタさん(嘔吐)
「お疲れ様です。えっと……ちょっと休憩でベンチに座ってたら、あっという間に集合時間に……」←僕
「あはは、疲れちゃいますよね。なんかおかしなこともありましたし」←ナガタさん(嘔吐)
「え、ええ……本当におかしなことでしたね。びっくりしましたね」←僕
おかしなこととは、出禁のことだ。また出禁のことを思い出して苦しくなっていると、ナガタさん(嘔吐)が決まり悪そうに言ってきた。
「この後なんですけど、多分自己紹介タイムが再開しますよね。まだ全員とご挨拶できてないですし。帰るまでに自己紹介を終えないと、カップリングカードの記入もできないですよね」←ナガタさん(嘔吐)
「あ、そうですね。時間の関係で全員の方とお話しできるかわかりませんが、おそらく……」←僕
「私の所為で自己紹介タイムを中断させてしまったので、申し訳ないなと感じています」←ナガタさん(嘔吐)
私の所為……とは、嘔吐してしまったことだろう。モフモフする目的地に向かっている途中で、ナガタさん(嘔吐)は車酔いのため嘔吐してしまったのだ。その所為とは言いたくないが、それもあって自己紹介タイムは中断。おそらくナガタさん(嘔吐)は、"皆さん安くもない参加費を払っているのに、私の所為で中断させてしまった。このまま全員とお話しできなかったらどうしよう"責任を感じているようだ。
「お気になさらず。具合が悪くなることは誰でもあります。全員とお話しできなかったということは、ご縁がなかったということですよ」←僕
当たり障りのない言葉で励ますと、ナガタさん(嘔吐)は少しだけ表情を緩めた。そして……
「ホピ沢さんのご実家のわんちゃんの写真、見せてくれませんか」←ナガタさん(嘔吐)
唐突にそう言ってきた。
僕の実家のわんこの写真……? 何故このタイミングで……?
あれ……そういえば……B山(ハイブランド)にもお願いされたような……?
