40歳過ぎて、これまで縁遠かったモテ期とやらが到来したのかもしれない。信じられないことだが、僕は三人の女性から連絡先交換を提案されたのだ。
……2人の男性がいる目の前で。
「いやいやいや、ここは仲良くやりましょうよ!ホピ沢さんだけじゃなくて、僕らとも交換しましょうよ!」←A山(肥満体型)
「え〜、でもA山(肥満体型) さんさっき、私たちのこと食べ過ぎとか言ってたじゃないですかあ。結構傷つきましたよ〜。少食の女性と交換されたらどうですか?」←ミヤギさん(沖縄出身)
「いやいやいや、あれは単に、場を盛り上げるための冗談じゃないすか」
ミヤギさん(沖縄出身)は雰囲気を壊さないようにやんわりと言っていたが、内心は相当かちんときたのだろう。確かに自分の体型を棚に上げて他人の食事量を指摘するA山(肥満体型) には、僕もイラッとした。しかも、"女性は総じてパスタが好き"という、わけのわからない決めつけをしてきたのも最悪だった。女性陣がA山(肥満体型) を嫌がる理由は、容易に察することができる。
じゃあB山(ハイブランド)は?そして何故僕は、交換対象なのか?
そこまで考えて、なんとなく感じるものがあった。
もしかして僕は……A山(肥満体型)とB山(ハイブランド)よりも、無害そうだからではないか?
自分で"無害そう"というのもアレだが……本当は女性陣は誰とも連絡先を交換したくないが、きっぱり断るのは角が立つ。そこで無害そうなホピ沢なら……とOK感を出す。だけどホピ沢は「ルール上交換してはいいけないですよ」と言うはずだから、結果的に交換しなくていい。それに賭けている……とか?
そこまで推理して……僕はがっかりした。そうだよな、モテ期がきたとか浮かれていたが、そんなはずないよな。
「女性たちは色々あるかと思うんですが、ここは皆で仲良くしたいので、全員で連絡先を交換しましょう。連絡を取るか取らないか、ブロックするかしないかは自由ですから」→B山(ハイブランド)
A山(肥満体型)が失速したのをチャンスと思ったのか、B山(ハイブランド) が身を乗り出してきた。B山(ハイブランド)は穏やかそうな表情を浮かべながらも、有無を言わせない口調と態度で押し通そうとしてくる。その圧力がなんだか怖くて、皆何も言えない。結果的に全員で交換することになった。
「そういえばホピ沢さんって何されてるんすか?三人の女性から連絡先を聞かれるくらいだから、女性の心をつかむ系の仕事?」←A山(肥満体型)
唐突にA山(肥満体型) が半笑いで尋ねてきた。まるで僕を見下すような、軽視している眼差し。
「研究をしています」
「研究……?研究ってなんのですか?女性の?笑」←A山(肥満体型)
「……細胞や遺伝子の研究です」
「研究者っすか〜研究者って、研究室に夜中ずっと籠る系?って感じですよね」←A山(肥満体型)
研究室に夜中ずっと籠る系?そんなわけないだろ!メリハリをつけずに夜通し研究室にいるヤツは、大抵仕事ができないヤツだ。むっとして反論しようと瞬間、ナガタさん(嘔吐)が僕よりも先に口を開いた。
「A山さんの研究者のイメージは、古いですね。研究室に籠ってるだけではだめなんですよ〜学会で発表とかしないといけないし、コミュニケーション力とか英語力とか必要なんですよ……って兄が言ってました」←ナガタさん(嘔吐)
「お兄さんは研究されてるんですか?」←僕
「いいえ、今は違うんですけど。兄が大学院生の時にそう言ってました」←ナガタさん(嘔吐)
「え!え!え!じゃあホピ沢さんは、大学院まで出てるんですか!」←ムラマツさん(ぬい活)
ムラマツさん(ぬい活)が突然大きな声で、僕に尋ねてきた。
