「どうしてここに来たんですか?受付に渡してくださいって言いましたよね?」
どうして、じゃねーよ!
「……Dさんのおっしゃるように、一階の総合受付の方にお願いしようと思いましたが、"直接お願いします"と言われましたので、ご迷惑だとは思いましたが伺いました。僕が会社に訪ねる時は外勤だとおっしゃっていたので、先ほどインターホンに出られた方にお渡ししてお返ししようと思いましたが……」
「……そうですか」
「これ、お返しします。Dさんのぬいぐるみです」
「……ありがとうございます」
「では失礼します。お仕事中に申し訳ありませんでした」
ラッピング袋に包んだぬいぐるみをDさんに手渡した僕は、Dさんに挨拶をしてエレベーターのボタンを押した。正直Dさんを、衝動のままに罵倒したい気持ちだった。ふざけんな!返して欲しけりゃ自分で取りにこいよ、と怒鳴りたかった。だが後味が悪い終わり方は嫌だし、そもそも僕には誰かを罵る度胸がないのだ。それに仮に誰かに罵詈雑言を浴びせた場合、僕はすごく後悔すると思う。だったらぐっと自分の中で堪える方がいい。
「ホピ沢さん」
エレベーターが到着し乗ろうとした瞬間、突然Dさんに引き止められた。
「この後時間ありますか?」
え……?
「もう少しで仕事終わるんで。ごはんくらい付き合ってあげてもいいですよ」
……は?
