「今すごく、ホピ沢さんの所為で気分が下がっています。次のお店ではホピ沢さん、少しでも私の気分を上げるために、名誉挽回してくださいよ?」
おい、D!お前マジで正気か?なんで僕がお前のご機嫌を取らなくちゃいけねーんだよ!
「……Dさん、本当に色々と申し訳ありませんでした。ですが僕にはDさんを楽しませる力量はなく、今後も幻滅させると思います。ですから……」
「だから仕切り直し!やり直ししましょう」
おいD……マジかよ。つーか何言ってんだよ、こいつ。
Dさんの意味不明な思考と言動についていけず、僕の顔は引き攣っていた。やり直しって……その時ふと僕の脳裏に思い浮かぶものがあった。そういえば前回Dさんと会った時、Dさんは、元彼に誕生日パーティーをやり直しさせたと言っていた。そのあっけらかんとした口ぶりに、僕は戦慄したことを覚えている。
なんでもDさんは、元彼がDさんのために用意してくれたプレゼントや、予約してくれたレストランが気に入らなかったらしい。後日Dさんは元彼に、自分好みのプレゼントを買わせた上、お気に入りのレストランを予約させる。そして改めて、"やり直し誕生日パーティー"を決行したらしい。しかしその後、そうまでしてくれた元彼に対して、"逐一言わなければ彼女の気持ちも察せないダメな男"という判断を下し、あっさり振ったとか。
まあ、恋人同士には色々あるだろうから……部外者の僕があれこれ言うべきではない。しかし交際もしていない、婚活で出会っただけの僕にまで、まさかやり直しを要求してくるとは……
「やり直しですか……?うーん……。ですがそういう気持ちで一緒に食事をしても、楽しくないと思うんですよね。やり直し……Dさんに審査されているんだなと思うと、こちらも緊張するというか……」
僕にやり直しをさせて、本当に何がしたいのだろう。 ここまでくるとさすがに僕の頭の中には、ずっと考えないようにしてきた"ある疑問"が、浮かんでくる。
Dさんは、僕とどうこうなりたいのだろうか。それとも、ただの暇つぶし?
「審査?私たち、婚活パーティーで出会ったんですから、お互いを審査するのは当然じゃないですか?名誉挽回してくれないと、次回に響きますよ?」
次回……?次回があるのか……?
