2025年10月17日金曜日

40代男が婚活パーティーに行ってみた59

「蒲田の羽付き餃子のお店は超人気店でいつも大行列なので、予約なしでは入れません」
 

そう適当な理由を言って、餃子のお店に行くことを阻止すれば良かった。僕はDさんと餃子のお店を目指して歩きながら、後悔していた。しかしそんな言い訳は、すぐにバレてしまう。確かに羽付き餃子のお店は超人気店であることに間違いはない。が、いつも大行列というわけではない。店内は常にお客さんで溢れているが、席数が多く回転が早いため、結構すんなり入店できてしまう。また仮にお店に入れなくても、蒲田中に支店や系列店が何軒もあるので、"どうしても入れない"という状況にはほとんどならないのだ。
 
だから僕はDさんに"嘘"をつけず、不本意ながらも羽付き餃子のお店に案内してしまった。"混雑して入店を断られますように"という、僕の一縷の望みを退けるかのように、案の定あっさり入店。「餃子にはビールでしょう」というDさんの言葉を受け、ビールで三度目の乾杯をした。
 
「餃子は大好きなんですけど、羽付き餃子は食べたことがなくて。どんな感じなんだろう、楽しみです。ホピ沢さんはよく食べられるんですか?」
「最近は全然食べてないのですが、昔はよく家族でお店に来ましたね」
「そっかー、ホピ沢さん、蒲田が地元ですもんね。思い出の味ってやつですか?」
「そうかもしれないですね。Dさんのご出身は東北でしたよね?僕は転勤で岩手に住んだことがあるんですけど、東北の思い出の味、結構あります」
 「そうなんですか?よく東京出身の人が、岩手に住めましたね。ど田舎で窮屈な街でしょう?東京と比べたら、東北なんてなにもないですよ」
 
Dさんは自嘲するように、そう言ってビールを煽った。まるで故郷の話はしたくないという雰囲気だ。もしかして地雷を踏んでしまっただろうか。そこはかとなく感じる違和感に焦り、僕は慌てて話題を変えた。
 
「……動物はお好きですか?」 
「ええ、好きですよ」
「今は一人暮らしなので飼えないですけど、実家で犬を飼っていて……」
「へー……」
「……」
「……」

唐突すぎただろうか。会話が……続かない。手持ち無沙汰を解消するために、壁に貼られたメニューを眺めていると、Dさんが何か思い出したように口火を切った。
 
「……犬といえば昔、韓国で犬鍋を食べました」
「え……っ」
「犬鍋、知りません?韓国料理。ドラマで犬鍋を食べているシーンを見て、興味が湧いちゃって。お肉は犬と言われなければ犬ってわからない、普通に美味しかったです」
「……」
「日本にも犬鍋が食べられるところあるみたいですよ」 

おい、D!お前酔っ払ってんのか?それともデリカシーがないだけなのか?それ犬好きの僕の前でする話じゃねーだろ!

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