2025年10月3日金曜日

40代男が婚活パーティーに行ってみた55

Dさんは手を洗っていないかもしれない。その疑惑を抱えながら歩くこと数分、二軒目のお店に到着した。人気店なので入れないだろうと思っていたが、ちょうど一巡目のお客さんが退店した直後だったらしい。幸い、すんなり入ることができた。店内奥のドラム缶型のテーブルに案内してもらった後、ドリンクとお通しを注文。ちなみにここのお店は数種類の中からお通しが選べるのだが、僕はピクルス、Dさんはポテトサラダをオーダーした。
 

「じゃあ二度目の乾杯でーす。お疲れ様でした。無事に二軒目に入れてよかったです」
「お疲れ様です」
「このお店もまた、なかなか雰囲気があるお店ですね。メニューも全部美味しそう」
 
Dさんは手書きのメニューを真剣に眺めながら、何を食べようかと吟味している。僕はお通しのピクルスをつまみながら、なんとも言えない気持ちだった。別に僕は極度の神経質でも潔癖症でもない。が、Dさんの手元が目に入るたびに、どうしても先ほどの光景がチラついてしまうのだ。 "洗ってないかもしれないDさんの手"、が。
 
「蒲田にはおひとり様に優しいお店がたくさんあるので、いいですね。1人でさくっと飲んで食べれる場所があるのは、理想です。ホピ沢さんも結構一人で飲む感じですか?」
「平日は飲みに行くことはほぼないのですが、週末は外で飲もうかなってなりますね。毎週末ではないですけど、1人で飲みに行きますよ」 
「えー?週末だけですか?」
「はい。平日は基本的に外食せずに家で過ごしてますね。翌日仕事がある時は、飲みに行く気分になれないです」
「えー、私だったら食べて飲んで帰っちゃいますね。家に帰っても1人だし、自分のために料理するの面倒だし。もしかしてホピ沢さん、料理とかする感じですか?」
「料理ってほどではないですけど……まあ一応しますね」
「え、すごーい。じゃあもしかして、会社にお弁当持って行ってるんですか?」
「はい、前日の残りを詰めただけですけど……」
「詰めただけってすごいじゃないですか。うちの職場には自分で自分のお弁当を作ってる男性はいないですよ。私だってそうですし。よく会社の近くのサラダ屋さんで済ませてます」
 
サラダ屋さんでランチ……。おそらく、一つ1000円超えは当たり前の高級サラダなんだろう。都会でバリバリ働く女性、という感じだ。やっぱりお洒落なDさんは食べる物もお洒落なんだな。
 
そんなことを考えていると、Dさんが冗談ぽく笑いながらこう言った。
 
「ホピ沢さんと結婚したら、毎日家事してもらえそう」
 
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