そんなこんなで、あっという間にDさんと会う日になった。その間僕の気持ちは、ジェットコースター並みに情緒不安定だった。そもそも気が進まないのに会うことを承諾してしまったこと、Dさんに好感を持っていないのに"もしかしたらの奇跡"に縋っていること、性格が合わなくてもDさんの外見が綺麗だから会おうとしていること。そんな打算的で不誠実な自分に、後悔と罪悪感でいっぱいになってしまっていたのだ。自分でもおかしくなるくらい気分の浮き沈みが激しく、訳がわからない状態で当日を迎えた。
お洒落で綺麗で美人ですらっとしているDさんと少しでも釣り合うために、僕は色々と準備をした。167センチという身長を変えることはできないが、この日のために洋服を新調し、少しでもスタイルが良く見えるような服装を選択した。まだ髪を切るほど伸びていなかったが美容室に行った。そしてクーポンがあったので、これを機に、フェイシャルエステで念入りに毛穴や皮脂を除去してもらった。ちなみにフェイシャルエステは初めての挑戦だったのだが、思い切ってやって良かったと思う。心なしか、肌が明るくなった気がする。
Dさんとは某日の13時に、JR蒲田駅の改札周辺で待ち合わせをしていた。約束の時間の10分前に到着した僕は、某カフェチェーンを背にして待機。Dさん自身が希望していたとはいえ、下北沢在住だというDさんが蒲田に来るのは、結構遠くて大変だなと感じた。遠くから来てくれるのだからせめて何かお土産をと思ったが、物は負担になる。全額ご馳走するのが無難だなと思った。
そうこうしていると、待ち合わせ時間ぴったりになった。そういえば僕は、婚活で出会った女性には、大体いつも遅刻されている。どうやら時間にルーズな女性と縁があるようだ。今回も遅刻されるのかなと思っていると、遠くから僕に向かって女性が近づいてきた。
Dさんだ。僕は気を引き締めた。