もうご縁はないだろうと思っていたDさんから、突然ラインがきたのだ。 それも文とスタンプ合わせて、10ものメッセージが。
"今度蒲田で飲みたいので、ぜひおすすめのお店に案内してください"
"私は土日は空いてるので、ご都合のいい日を教えてください""待ってまーす"
Dさんからの用件は、上記の通りである。ちなみに文と文の間には"スタンプ"が含まれているが、省略させていただいた。
困ったな……どうしよう……。
まず僕は、すぐに既読をつけてしまったことを、すごく後悔していた。普段ラインをしない僕にとって、10というメッセージの数は多い。だから家族に緊急のことがあると思い、慌てて画面をタップしてしまったのだ。それがまさかの、今まさにブロックしようと思っていたDさん。Dさんは、僕が既読したことに気づいただろうか。秒で既読にしてしまった……まるでDさんからの連絡を待ち望んでいたみたいじゃないか。
"今度蒲田で飲みたいので、ぜひおすすめのお店に案内してください"
確かに食事中にDさんは、かつて蒲田に住んでいた元彼との思い出をぺらぺら話した後、「飲兵衛の街、蒲田で飲んでみたい」と言っていた。てっきり社交辞令だと思っていたが……そうではなかった、ということなのだろうか。
僕はどうしようかと、本当に悩んだ。
Dさんは綺麗で明るくてスタイルも良くて、とにかく美人だ。その上、美味しくごはんを食べるしお酒も飲めるし素敵な女性だと思う。だが……少し言動が引っかかるところがある。例えば、思ったことを遠慮なく口に出すところ。イタリアンバルで話している最中、何度かヒヤヒヤするような場面があった。裏表がないことはいいことだが、大人の女性としてその発言はどうなのだろう、と愕然とした記憶がある。
それに……僕がDさんよりも5歳年下だからだろうか。話している時、僕は何度かDさんに年下扱いされた。それがどうしても、馬鹿にされているように感じてしまったのだ。上から物を言われているというか……ちょっと偉そうに見えてしまう。上司と部下の関係なら仕方ないと思える。が、中年の5歳差なんてないようなものなのになあ……と複雑だった。品定めしている態度をあからさまに出されたのも、苦しかった。
ただDさんの根は、いい人だと思う。僕のように根暗で陰湿でキモくていつまでもグジグジしているタイプとは真逆、圧倒的光の下で生きている感じがする。仕事はできそうだし、周囲をいい方向に引っ張ってくれるパワーもあるし、頼り甲斐もあると思う。
ところで一番腑に落ちないのは、Dさんが僕に会おうとしてくれているということ。
あんなに美人で綺麗な人が何故僕と……?
不可解でたまらなかった。