2025年8月15日金曜日

40代男が婚活パーティーに行ってみた37

ワタリガニのトマトクリームパスタを食べた後の僕のコンディションは、本当に最悪だった。とても美味しい食事だったとはいえ、お腹いっぱいまで詰め込んだ胃は限界気味で破裂寸前。そういう状況でDさんに〆のデザートを勧められたが、当然食べられるわけがない。やんわりとお断りすると、Dさんは途端に不機嫌になった。

 
いやだから食いたいなら1人で食えよ!誰もお前が何を頼んで何を食べてどれだけ食べてるとか全然気にしてねーから!もっと自分を強く持てよ!マジでいい加減にしろよ! 
 
「食べましょうよ、デザート」としつこく勧めてくるDさんを対処するために、仕方なく僕は「甘いものは苦手」と大嘘をついた。結果渋々だが、納得してもらうことに成功。不満そうに長々とデザートメニューを眺めていたDさんは、最終的にカタラーナをオーダーして食べていた。
 
そしてそろそろお会計の雰囲気になった頃、僕は店員さんにアイコンタクトを送って伝票を持ってきてもらった。当然伝票は、持ってきてもらうことを頼んだ僕に渡される。僕は全額支払うつもりだった。

「えっと、いくらでした?伝票見せてもらってもいいですか?」
「え、ええ……」

するとDさんは、僕の手から伝票をするりと取り、中を開いて確認した。そして、ふーんと、言う。一体なにが、ふーんなのだろう。
 
ちなみに金額は、ランチにしてはなかなかのお値段だと思う。ちょっとリッチなディナーレベルだろうか。少なくとも今知り合ったばかりの初対面の方と食事をする金額では……ないと感じた。
 
「わかりました。では私はお手洗いに行ってきますので、お会計してもらってもいいですか?」
「え?ええ……」
 
そう言うなりDさんは、颯爽とお手洗いに行ってしまった。なんでこれからお会計って時に、席を立つんだ?せめてその前に行ってこいよ!僕はしばし呆気に取られ、ぽかんとしてしまった。しかしそう悠長なこともしてられない。ランチタイムの終わりが迫っている関係で、速やかに退店しなければならない状況だったのだ。僕は急いでお会計を済ませた。そしてお店の前で、Dさんを待った。
 
あれ……?ところでさっきのはなんなんだ?なんでDさんは伝票を確認したんだ?奢られる気満々なら別にわざわざ伝票を開いて値段確認しないよな?それともこの値段ならお前払えよな?つーか払えよ的なチェックなのか?はたまたDさんがお手洗いから戻ってきたら「私も払います」の流れになるのか?
 
「お待たせしてすみませーん。美味しかったですねー!」
 
しかしお手洗いから戻ってきたDさんは、会計について言及することも、お財布を出すことも、代金を支払った僕に「ごちそうさま」と言うこともなかった。 

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