2025年6月2日月曜日

40代男が婚活パーティーに行ってみた7

二番目のお相手は、40歳会社員Aさんだ。彼女がいる個室にノックをして入った瞬間、僕の心臓は、まるで落雷したかのように大騒ぎだった。 
 
"えっ……マジかよ……!Aさんめちゃくちゃ好みだ!"
 

「はじめまして。ホピ沢と申します。本日はよろしくお願いします」
「はじめまして。こちらこそよろしくお願いします。Aです」 
 
こんな奇跡があるのだろうか。あっていいのだろうか。Aさんの外見が僕のどストライクすぎて、恥ずかしながら僕は動揺していた。いや動揺ではない。年甲斐もなく舞い上がってしまい、頭の中がいい意味で大混乱だった。
 
Aさんはぱっちりとした目に、ゆるくパーマがかかった茶髪ボブ、おっとりとした優しい雰囲気、透明感を感じさせる白い肌、穏やかな声音、柔らかいにっこり笑顔。極め付けは、やっぱり可愛らしい顔。このパーティーの女性の参加条件の一つが、"年齢よりも若く見られる方"なのだが、Aさんはまさしく当てはまっていた。とても実年齢の40歳とは思えない、若々しい美貌。Aさんの美しさに、思わず息を呑んだ。
 
「ホピ沢さんのお仕事は研究職だそうですが、何を研究されているんですか?」
「遺伝子のことを研究しています。Aさんはお仕事なにされてるんですか?」
「遺伝子?わあ、難しそうですごい!ホピ沢さんは頭がいいんですね!私はホピ沢さんとは違って、平凡な会社の事務をしています」
「そんな……全然すごくないですよ。都内にお勤めなんですか?」
「そうです。割とこの会場のすぐ近くに勤めてます」
 
見え透いたお世辞だとわかっているはずなのに、Aさんに"すごい"と煽てられて、僕の口元は気持ち悪いくらいにニヤニヤしていた。笑みが深くなっていっていくのを止められない。僕の顔は相当に不気味だったことだろう。Aさんは僕に対して微塵もそういう態度をしなかったが、実際は気味悪がっていたかもしれない。本当に我ながらバカだと思う。でも例え嘘だと理解していても、こんなに可愛い女性からの褒め言葉は嬉しい。
 
だが浮かれている一方で、僕は妙な違和感を感じていた。何かが、おかしいのだ。それはAさんの個室に入室した瞬間から、ずっと付き纏っている。最初僕は、気にしないように努めていた。しかしそれも長くは続かない。時間が経てば経つほどその正体はどんどん存在感を増していき、ついには無視できないレベルにまで達してしまった。
 
……なんか臭くね? 
 
あまりの臭さに、僕の鼻は曲がってしまった。まさしく、瀕死の重症。
 
何かが、臭うのだ。それも、強烈に。本当になんなんだろう、この奇臭は。香水や化粧品といった女性特有の匂いではなく、なんとも不愉快な臭い。生乾き臭のような、異国を思わせるスパイス臭のような、大量の汗や皮脂が染み付いた汗臭のような、文字では表現し難い独特で刺激的で嗅覚が木端微塵になる腋臭のような……
 
ワキガ……?これってワキガの臭い……じゃね?
 
Aさんと会話をしながら、僕の五感は機能停止寸前だった。
 
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