2025年3月17日月曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 119

なんやかんやで、あすぴょんさんと、店舗によっては飲茶が登場するドーナツ屋に行く日を迎えた。前回あすぴょんさんに会った日から、ちょうど一ヶ月。そして会うのは3回目。"ピンと来なくてもとりあえず3回は会う"的な気持ちでここまであすぴょんさんと連絡を取ってきたが、ついにそのカギとなる3回目になってしまった。今日で全てを決める必要はないとは言え、ここであすぴょんさんといい関係を築けなかったら、次に進もうと思う。そう決意して、僕は待ち合わせ場所に向かった。


これまでの経験上、あすぴょんさんは必ず遅れてくるだろう。しかも20分は確実に遅刻する。しかも絶対に、待ち合わせ場所とは反対の出口にいる。

そう予測した僕は、待ち合わせ時間ギリギリに辿り着くように家を出た。待ち合わせの駅は東京屈指の繁華街とはいえ、ほとんど行く機会がなく、最後に行ったのは5年ほど前。僕の性格的に、不慣れな街に行くときは、最低でも15分前には到着していたかった。しかしイライラしながら遅刻したあすぴょんさんを待ち続けるのは、自分のためにならないと思う。早く到着したい気持ちをぐっと堪えて、僕は約束の時間ぴったり……いや2分ほど過ぎた頃に、あすぴょんさんとの待ち合わせ場所に着いた。
 
しかしここで、予期せぬ事が起こったのだ。
 
あすぴょんさんが、いたのだ。僕よりも先に、待ち合わせ時間に、待ち合わせ場所に。

どうせあすぴょんお前遅刻するんだろ俺は知っているからな、と睨んでいた僕の予想は大いに外れた。失礼だが、ちょっと驚いてしまった。一体どういうことなのだろう。心を入れ替えて、時間前行動を心がけたのか?しかも迷わずたどり着けたのか?
 
……それができるなら、なぜ今までちゃんとしないのだ。
 
困惑しながらあすぴょんさんに近づいたが、彼女は全く僕に気付く様子がない。それもそのはず、改札口から少し離れた柱に身を潜めるように佇むあすぴょんさんは、顔を上げる事なく俯いているのだ。足元しか見ていない。その雰囲気は、彼女の黒で統一されたファッションと相まって、なんだか不安げでビクビクしているように見える。やはり不良も犯罪率も多いエリアを提案したのは間違いだったかな、と僕は後悔しながら、あすぴょんさんに声をかけた。
 
「おはようございます、ホピ沢さん。今日はお時間作ってくださって、ありがとうございます」 
「おはようございます。こちらこそありがとうございます。遅れてすみません。ここまで迷いませんでしたか?大丈夫でした?この駅は出口がたくさんあるので、僕は少し迷ってしまいました」
「ああ、それは全然大丈夫です」

それまで自信なさそうに目を伏せていたあすぴょんさんが、何故か得意げに僕を見つめてきた。

「この駅にはよく来るんです。週に一回は必ず。好きなアニメグッズのお店があるんです」

僕はずっこけそうになった。
 
おい、あすぴょん!"不良や犯罪が多いイメージなので、頑張ります"って言ってたのはなんだったんだよ!週一ペース?頑張る人のペースじゃねーよ!常連じゃねーか!何言ってんのか意味わかんねーよ!
 
 にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ