2025年3月10日月曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 116

「ホピ沢さんはパンが食べたいんですよね?このお店はどうでしょうか。ここは私の大好きなお店です!知ってますか?もしよろしければ、一緒に行きませんか?」
 
僕が提案したレストランをやんわりと断ったあすぴょんさんが提案してくれたお店は……店舗によっては飲茶が登場するドーナツ屋だった。
 

「ご存知ないかもしれませんが、ドーナツやパイの他にも、ラーメンや炒飯もあるんです。甘いものもしょっぱいものも味わえますし、とっても美味しいのでおすすめです」
 
……正気か?
 
僕はあすぴょんさんが添付したURLを確認した後に、スマホをテーブルに置いた。一体僕はどうしたらいいのだろう。急速に冷めていく気持ちをどうにか宥めようとするも、なかなか落ち着かない。僕はソファに座りながら、途方に暮れてしまった。
 
店舗によっては飲茶が登場するドーナツ屋?知ってますか?って、知ってるに決まってんだろ!知らねーやつなんかいねーよ!
 
正直なところ、愕然としていた。自分が提案したお店を断られたことについては、特に不快に思っていない。僕が良かれと思っても、あすぴょんさんにとっては好みじゃなかったのだろう。そしてあすぴょんさんから別のお店を提案されたことについても、特に不愉快だと思っていない。むしろ代替案を出してくれてありがとうだ。
 
じゃあ何が気掛かりなのか?
 
仮にも婚活というかしこまった会で、カフェなのかファーストフードなのか立ち位置がよくわからない、店舗によっては飲茶が登場するドーナツ屋を提案してくるあすぴょんさんの思考が全く理解できないことだ。
 
何度も言わせてもらうが、チェーン店に罪はない。僕だって、チェーン店は大好きだ。
 
だが恋人や友達同士なら全く構わないが、僕とあすぴょんさんはそうではない。婚活という目的で、会っている。そういうかしこまった場に何故、店舗によっては飲茶が登場するドーナツ屋が最適だと思ったのか。全然わからない。
 
ちなみにあすぴょんさんは、僕が提案したお店を「敷居が高い」と言っていたが、そんなことはないと思う。ドレスコードがあるわけでも、三つ星レストランでも、高級なわけでもない。リーズナブルでカジュアルだけど雰囲気がよく、パンが美味しい洋食レストランだ。極端な話、このお店に対して「敷居が高い」と感じる方は……もう外食自体難しいのではないだろうか。

なんだかぷつっと糸が途切れてしまった。
 
しかし時間が経つと、少しずつ自身の反省点が見えてくる。結局僕は自分の思い通りに事が進まないから、あすぴょんさんに対して不満を抱いているのではないだろうか。相手に寄り添おうとする心を忘れてはダメだ。身体の芯にまで響くように言い聞かせて、思い直す。
 
別に、店舗によっては飲茶が登場するドーナツ屋でも、 いいじゃないか。
 
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