2025年3月5日水曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 114

別れ際に腹痛になってしまったあすぴょんさんの体調を気遣いつつ、今日のお礼や感謝を綴ったメッセージを送った後、僕の心の中に言いようもない不安が押し寄せた。自分があすぴょんさんと、今後どうしたいのか、どうなりたいのか、全くわからないのだ。ただ一つ、はっきりと思うことがあった。あすぴょんさんとのご縁を自ら断ち切ってしまったら、もう自分にはチャンスが巡ってこないのではないか。そういう、ずるい考えが頭を占めていた。
  

あくまで現状だが、僕はあすぴょんさんに対して、人間的な好意はあるが、恋愛的な好意は持っていない。
 
あすぴょんさんは、本当にいい人だと思う。細かな……では済まない引っかかりはあるとはいえ、気遣いができるし、優しいし、物腰は柔らかいし、にこにこ笑顔も素敵だ。それに、好きなことには全力だし、趣味の一部が合いそうだし、無邪気だし、嘘はつけない性格だし、可愛らしいなと感じる一面もある。
 
でも何故だか、次に進みたいと思う願望が沸いてこない。でもそれは、そういうものだと割り切った方がいいのかもしれない。まだたった、2回しか会っていないのだ。
 
それに、感情だけで人を好きになれていた若い頃とは違うのだ。あすぴょんさんに対してビビビっと直感的にくるものが今のところなくても、それは仕方のないことかもしれない。そもそも婚活という目的がはっきりとした出会いで、そういう感情的な感覚を頼りにする方が、間違っている気もする。だからといって、打算的な動機で動こうとしている自分に嫌気が差した。
 
もう一度会ってみようか、いやもうこれで終わりにしようか。会ってみようかってなんで上からなんだよ、向こうから断られるに決まってるだろ、いやここでフェードアウトされた方がいいのかもしれない。だがこれで終わったら僕は次誰かと巡り合えるのだろうか、会えない気がする。でもそんなずるい気持ちであすぴょんさんを誘うのか?失礼だろう。
 
こういう他人に説明し難い心の葛藤が、数日続いた。その間あすぴょんさんとは、ぽつぽつとメッセージが続いていたが、お互いアクションを起こすことなく、当たり障りのないお笑いの話でなんとなく繋いでいる感じだった。あすぴょんさんも、あすぴょんさんなりに悩んでいるのかもしれない。あすぴょんさんの「今日はこの芸人のyoutubeを観たんですが」という文頭で始まるメッセージに、ネタ切れの気配が漂っていた。
 
この意味を見出せないやりとりや、自分の中で答えを出せないことに、僕はもどかしさで一杯だった。そして決心する。もう一度あすぴょんさんと直接話してから、どうしたいのか、どうなりたいのか、はっきりさせようと。

「あすぴょんさんはパンがお好きでしたよね?最近友人が美味しいパンのお店、XXXを教えてくれたのですが、もしよろしければ一緒に行きませんか?」
 
ちょっと唐突すぎるかなと思ったが、僕は思い切ってあすぴょんさんを食事に誘ってみた。

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