2025年2月12日水曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 106

あすぴょんさんがドリンクバーから戻ってきたと同時に、僕がオーダーしたビールが到着。前回と同じようにあすぴょんさんは、ジュース、烏龍茶、紅茶の三つの飲みのを取ってきた。しかも用意周到に、調味料コーナーから、オリーブオイルやホットソースなどの調味料も持ってきてくれた。さすがサイゼリヤのヘビーユーザーだ。
 

僕とあすぴょんさんは、ビールとジュースで乾杯。そして喉を潤した後、先ほど観劇した漫才について話した。どの芸人も面白かったが、やはり芸人Aがずば抜けていたと意見が一致。あすぴょんさんは大興奮しながら、芸人Aの魅力を改めて語ってくれた。正直、お前漫才中パン食べてただろ、と突っ込みたい気持ちは山々だった。とはいえ、趣味が同じ人と話すのは楽しいなと思った。
 
店内は騒々しく混雑している上、隣の席との距離がすごく近い。僕はサイゼリヤ特有の雰囲気になかなか慣れることができず、気持ちがそわそわしていた。とりあえずビールでやり過ごすが、美味しいのか美味しくないのかよくわからない。それくらいサイゼリヤの空気に気圧されていたのだ。だからあすぴょんさんに別の話題を振られたことに気が付かず、曖昧な返事をしてしまったらしい。 あすぴょんさんの表情が曇ったのを見て、ひやっとした。

「ホピ沢さん、どうかしました?具合悪いんですか?もしかして本当はサイゼリヤ嫌でした?」
「いえ、申し訳ありません。店内が少し騒々しいので、あすぴょんさんの話を聞き逃してしまいました。もう一度お願いできますか?」
「ホピ沢さんは、普段はお一人で、漫才を観に行かれるんですよね?」 
「そうですね。でも、そもそも、頻繁に観に行っているわけではないんですよ。気が向いた時に、たまに行く程度で」
「そうなんですか?てっきり毎月観に行っているのかと思いました」
「いえいえ、年に数回行くか行かないかって感じです。だから友達を誘うほどでもないかなと思って、一人で行っちゃいますね」
 
そんなに一人で行くのがおかしいだろうか。そういえばあすぴょんさんは、何がなんでも誰かと一緒に行きたい、誰かと行動したいタイプだった。それはそれでいい。だけどこの話は確か以前したと思うし、再度掘り下げて話すほどの話ではないと思う。
 
「……そんなに一人で行くの変ですか?今日も一人で観に来られている方結構いましたし、僕は一人で行動するの好きなんで……」
 
深刻な口調にならないように、僕は冗談混じりで聞いてみた。なんであすぴょんさんがそこまで僕が一人で漫才を観に行くことが気になるのか、どうしても腑に落ちない。店員さんから注文していたおつまみ三品を受け取っていると、あすぴょんさんが躊躇いがちに口を開いた。
 
「……彼女さんがいらっしゃった時も、お一人で漫才を観に行ってたんですか?」
 
 にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ