1日半ぶりのあすぴょんさんからのメッセージは、彼女にしては珍しくスローリーかつ短文だった。
"お誘いありがとうございます。ぜひお茶しましょう"
これだけだった。
これだけ?
張り合いがないと感じた僕は、拍子抜けしてひっくり返りそうになった。今までのスピィーディーかつ長文のメッセージは、一体なんだったんだと訝しく思う。これだけなら片手間で返事できるだろ、と思わず突っ込みそうになった。
しかし僕は、思い直した。この文を返信するだけに、あすぴょんさんは1日半かかったのだ。"本当は会いたくないけど断れないどうしよう"、とか、"まだ会う気持ちになれないのにやだなあ"とか、この一文にはあすぴょんさんの葛藤が詰まっているのかもしれない。自分本位に考えすぎていたなと反省した。
とは言えあすぴょんさんからOKを貰ったので、その言葉通り受け取ることにする。
僕は返信に、会うことを承諾してくれたお礼を書き、都合の良い日程と会う場所の候補を尋ねた。すぐにあすぴょんさんは返事をくれたのだが、どうやらあすぴょんさんは埼玉県の北東方面在住らしい。僕の家とはかなり離れているエリアだった。
"お気遣いなく。都内に出ますから、場所は都内で大丈夫ですよ"、と言ってくれてはいるものの、それは1時間半以上も電車に乗っていることを意味する。さすがにそんな負担をかけるわけにはいかないし、僕に合わせる理由もない。
そこで僕は、「大宮駅で待ち合わせはどうでしょう」と提案した。大宮駅ならあすぴょんさんも行きやすいのではないだろうか。ちなみに僕は大宮駅に行ったことはないが、京浜東北線の沿線だから乗り換えないしいいや、という感覚だった。
"大宮駅で大丈夫です。いいんですか?ご負担じゃないんですか?私に合わせてくださったんですよね。ありがとうございます"
という返信を貰い、無事にあすぴょんさんに会う日程が決まった。