音信不通状態のサリーさんをひたすら待ち続けたが、ついに20時になってしまった。 僕は1時間もの間、なす術もなく立ち尽くしていたことになる。相変わらずサリーさんから連絡はなく、僕が送ったメッセージも既読になることはなかった。
1時間待ってこの有様なのだ、さっさと帰ろう。僕は躊躇うことなく電車に乗り、家路についた。その間何度かメッセージをチェックしていたが、サリーさんからは何もない。何かあったのではないかと心配だったものの、ただのドタキャンという可能性が濃厚な気がした。もし本当に僕に会う気があるなら、例え忙しくても隙を見て一報入れようと思うはずだ。サリーさんに振り回されたという気持ちが拭えず、苛々ともやもやがピークに達した僕は、また行きつけの町中華で炒飯を食べてしまった。
結局この日は、サリーさんから返信はなかった。
そして翌日の午後。仕事の休憩時にコーヒを飲みながらマッチングアプリを開いて、僕は目を疑った。サリーさんからメッセージが届いていたのだ。
おい、サリー!お前昨日はマジでどういうつもりなんだよ!
一切の連絡もなくドタキャンしておきながら、メッセージ?言葉は悪いが、正直どの面下げてメッセージを送ってきたんだよと思う。サリーさんに文句をぶちまけたい反面、僕はメッセージを開くのを躊躇していた。一体サリーさんは、僕に何を伝えたいのだろう。
おそらくメッセージの内容は、"サリーさんが何故待ち合わせ場所に来なかったか"。そして、"今の今まで連絡しなかったか"、についてだと思う。
しかしもしその理由が、"やっぱり身長が低いホピ沢さんに会うのが嫌になりました。だからドタキャンしました。すいません"、だったら?二度も他人から辛辣な言葉を突きつけられたら、さすがの僕も心がボロボロになる。
確かに167センチの僕は、身長が低い。低身長の男の立ち位置がどういうものなのかも、世間からどう見られているのかも、もちろん理解している。だが僕は自分の身長に対して、それほどコンプレックスを抱いていないのだ。そりゃあ本音は高身長になりたいし、背は高ければ高いほどいいと思う。でも別に背が低い己の現状に不満はないし、あくまで身長に関しては特に悲観していない。だからサリーさんに、"背が低くてかわいそう"、という憐れみの目で見られると、すごく胸が引き裂かれるような気分になるのだ。
勤務中にショックを受けたら仕事にならない。家に帰ってから、サリーさんのメッセージを読もう。僕は帰宅してから、サリーさんと向き合うことにした。
