ハンカチのことは忘れようと、無理やり自分に言い聞かせた。そしてまた一から婚活頑張るか、と気合を入れ直した矢先のことだった。
サリーさんから連絡が来たのだ。
通知を見た瞬間、驚きが声に出てしまった。サリーさんと音信不通になってから、既に1週間以上が経っている。僕の「無事に家に帰れましたか?」に対して返信が来なかったことで、完全にサリーさんとの縁が切れたと思っていた。それなのに、今更何の用だろう。僕に対する不満だろうか。心がざわざわしていた僕は、悪い内容しか思い浮かばず、メッセージを開くのに躊躇していた。
"お返事が遅くなってしまい、ごめんなさい。ホピ沢さんに連絡をする勇気がありませんでした。先日はご迷惑をおかけして本当に申し訳ございませんでした。緊張していてお酒を飲み過ぎてしまいました。恥ずかしながら、終盤の記憶が全くありません。何も覚えていません。でも何かやらかしたんだなということは、本能でわかっています。やらかした内容を覚えていないので、ホピ沢さんに対して何を謝ればいいのか、それすらもわからない自分が情けないです。本当に申し訳ございませんでした"
"自分がいつどうやって家に帰ったのかはわからないのですが、起きたらテーブルの上にタクシーの領収書がありました。乗った記憶も払った記憶もないのですが、ホピ沢さんがタクシーに乗せてくれたんですよね?しかも代金まで支払ってくれたんですよね?レシートを見て気づきました。何から何まで本当にありがとうございます"
"あと見覚えのないハンカチがカバンの中に入っていたのですが、ホピ沢さんのですか?タクシー代と一緒にお返ししたいと思っております。お詫びに食事をご馳走させてください"
おい、サリー……お前本当に何も覚えてないんだな……。