すっかりタケウチさん一色になってしまっていたが、実は僕はタケウチさんと同時進行で、サリーさんという女性とメッセージのやりとりをしていた。K-POPを聴くことや、韓国料理を作ること、食べることが好きで、頻繁に新大久保で食事をするというサリーさん。そのサリーさんと韓国の話をした流れで、一緒に新大久保の韓国料理屋に行くことになっていた。
ここで今一度、サリーさんを振り返る。新潟出身のサリーさんは、都内で学童指導員をしている36歳。プロフィールのメイン写真は、満開の桜の木の下でピースをしているもの。髪は肩より下で、毛先が緩く巻かれている。目元は涼しげで、すらっと背が高く美人。
また趣味が多彩で、韓国やK-POP好きの他に、某ロックバンドの大ファンだそうだ。 サブ写真には、某ロックバンドのボーカルがハロウィンの時期に主催する、ハロウィンライブに参加した時のものがあったのだが、サリーさんは口から血を流したメイクを施し、キョンシーと思しきコスプレをしていた。本格的なコスプレともあって、なかなか際どく見る人を選ぶ写真ではあると思う。しかし僕は、きっと好きなものには、全力で取り組む女性なんだろうなという好印象を持った。
サリーさんとは、某日の19時に新大久保のとある韓国料理屋で会う約束をしていた。大混雑している新大久保駅前で待ち合わせするのは、わかりにくく危険ということで、店前集合にしたのだ。韓国料理初心者の僕のために、韓国料理玄人のサリーさんが選んでくれたお店である。
若者で賑わう駅前通りを少し歩いて、目的地に向かう。普段僕が利用する飲み屋街と雰囲気が全く違い、新大久保は若者のパワーや熱気で溢れ返っていた。やたらとカラフルな映像が目に入って視界がチカチカしたし、延々と流れる馴染みのない音楽が鼓膜にこびりついて離れない。若干の居心地の悪さを感じながら、待ち合わせ時間の10分前、18時50分ごろにお店付近に到着した。今か今かとその時を待つ。
しかし19時を過ぎても、サリーさんらしき女性は現れなかった。