タケウチさんのプロフィールページにアクセスした瞬間、ふと画面上に通知が来た。
タケウチさんから、メッセージが届いた。
おい、タケウチ……?
今ブロックしようとしたまさにその瞬間、僕はタケウチさんのメッセージを受信した。何故このタイミングで?その絶妙な間の悪さを苦々しく思いつつ、僕はなんだか嫌な予感がした。
どうしてタケウチさんは、僕をブロックしていないのだろう……。
てっきり僕はタケウチさんの方から、容赦無くブロックされると考えていた。
あの手この手でバーに誘い出そうとしたタケウチさんに、僕は精一杯、マザコンパワーを振りかざしたのだ。それを浴びたタケウチさんの表情は確かに引き攣り、絶句していた。おまけに彼女の顔には、"マザコン野郎マジできもい"と、露骨に書いてあった。そのくらいタケウチさんは、僕にドン引きしていたのだ。
タケウチさんのメッセージを読んだら、心がボコボコにぶちのめされそうだな……。
今回会って感じたが、タケウチさんは嫌なことは嫌だとはっきり言うタイプだ。不平不満をぐっと堪えることができず、口に出してしまう。だからきっとこのメッセージは、僕への文句で溢れかえっていることだろう。一度しか会ったことのないくせにお前はタケウチさんの何を知っているのだと言う感じだが、彼女の性質から踏まえて、ブロックする前に最後に一言、怨みつらみをぶちまけないと我慢ならないような気がする。
自分自身へのネガティブな評価を目にするのは嫌だったが、僕もブロックしようと思っていたところなのだ。今後タケウチさんと関わりがあるわけではないし、最後くらいしっかりと批判を受け止めよう。タケウチさんに二度と会うことはないと思うと、幾分か気が楽になった。そう思い深呼吸した後、僕はメッセージを開封した。
"ホピ沢さん、今日はありがとうございました。ホピ沢さんとは楽しい時間を過ごせたので、嬉しかったです。ホピ沢さんの穏やかで優しい人柄が、とっても素敵だなあと思いました。それに私とホピ沢さん、すごく話が合うとも感じました。ホピ沢さんは聞き上手なので、ついつい色々話しちゃいました笑。またぜひぜひお話ししたいです。
あと……別れ際のお母様の話、絶対嘘ですよね?ホピ沢さんは優しいから、きっと女性を遅くまで連れ回すのはダメだと思ったんですよね?だから私を気遣って、嘘をついてでも終電に乗せようとしてくれたんですよね?ホピ沢さん、本当に優しい!
次回はフレンチに行きませんか?"