"やっぱりホピ沢さんも、私に会いたかったってことじゃないですか♪それなら早く誘ってくださいよ!ではイタリアンにしましょう!私のいとこが店長をしているお店が、すごく美味しいんです♪XX日はどうですか?ご都合教えてください!私、ちょっとだけ男性のファッションには厳しいので、かっこよくしてきてくださいね"
……。
色々と突っ込みたいところはあるが、こうして僕はタケウチさんとイタリアンに行くことが決まった。
サリーさんと新大久保で会う日よりも、タケウチさんとの約束の日の方が先になった。要するにマッチングアプリで初めて実際に会う女性が、タケウチさんということだ。
根拠はないが、なんとなくタケウチさんには、ドタキャンされない自信があった。
だから、"かっこよくしてきてくださいね!"というタケウチさんの圧が強い言葉は、僕の中でプレッシャーになっていた。タケウチさんの言う、"かっこよくしてきてくださいね!"は、おしゃれをしてこいという意味なのだろうか。TPOを弁えた、清潔感のある服装ではだめだろうか。
そもそもかっこよくできていたら……今は既婚者だったと思う。と信じたい。
タケウチさんの言われるがままに行動するのもアレだが、僕はこれを機に洋服を買い足すことにした。指摘されずとも、身だしなみで女性に不快な思いをさせたくないのは本心。今後の活動も見据えて、お店の店員さんに相談に乗ってもらい、上から下までコーディネートしてもらった。
正直めちゃくちゃ恥ずかしかった。普段店員さんにアドバイスを頂かずに洋服を購入しているため、他人に自分の洋服を選んでもらうというシチュエーションがどうにも慣れず、そわそわしてしまった。とは言え、こんな僕のためにおしゃれな洋服を揃えて下さった店員さんには、すごく感謝している。
……タケウチさんのお眼鏡にかなうかはわからないが。
そしてついに、タケウチさんと会う日がやってきた。