2024年8月16日金曜日

40代男がマッチングアプリをやってみた 35

「ホピ沢さんですか?こんばんは、タケウチです!」

ついに僕の目の前まで迫ってきたふくよかな……いや、肥満の女性は、僕の名前を口にした後、笑顔を浮かべた。
 
 
……マジかよ。
 
僕は卒倒しそうになった。
 
「もしかして結構待たせちゃいました?お会いできて嬉しいです」
 
信じ難い気持ちでタケウチさんのプロフィール写真と、目の前のタケウチさんを見比べて……僕は絶叫しそうになった。
 
おい、タケウチ!写真と全然違うじゃねーかよ! 
 
そう強い口調でつっこみたかったが、ここはぐっと堪えて僕はタケウチさんに挨拶をした。タケウチさんがにっこりする度、頬の肉がすごく盛り上がって目が埋もれる。失礼だと承知だが、タケウチさんからとびきりの重量級スマイルを向けられて、僕はひどく心が騒めいた。
 
はっきり言う。現実のタケウチさんは太っていた。それもなかなかの丸々ボディー……いや単なるデブだ。

僕が見ていた写真の中のタケウチさんは、太っていない。
 
サブ写真の中には、少しだけぽっちゃりしているように見えるものもあったが、決してこんなにでっぷりではなかった。洋服の肩のデザインがガンダムに見えるようなものもあったが、決してこんなにノースリーブから覗く腕は逞しくはなかった。スカートのシルエットによってはむちっと見えるようなものもあったが、決してこんなにパワフルな太脚ではなかった。
 
とにかく僕が知っている写真のタケウチさんは、完全に贅肉が削ぎ落とされていて、太ってなどいないのだ。 しかし現実の彼女は……と、僕は冷めた目でタケウチさんを凝視する。
 
デブだ。
 
唯一写真と同じ点は、肌の白さだった。タケウチさんは驚くほど色白で、きめ細かい綺麗な肌をしていた。それ以外は……ほとんど別人といってもいいのではないかと感じるくらい、容姿が違った。何度も写真と照らし合わせても、接点を見つけられない。

何故これほどまでに、写真と体型が違うのだろう。何らかの事情で、急激に太ってしまったのだろうか。今日だけ特別に増量してしまったのだろうか。いや、そもそもここまで自由自在に体型を操れるものなのか?まるで魔法のようだ。
 
魔法……僕はハッとした。
 
もしかして……写真を加工した……とか……?
 
全てに合点がいった。
 
おい、タケウチ!元彼が実際よりも年収を多く盛っていたとか何とか言ってたが、盛りに盛ってるのはお前じゃねーかよ!
 
ブチブチとこめかみに青筋が浮かび上がりそうなくらい、苛立ちが込み上げてきた。

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