ぴよさんとのメッセージのやりとりはとても楽しいが、話題が食べ物に限定されている状況だ。ぴよさんの嗜好をどんどん知ることができて嬉しい反面、このままメッセージを重ねていても、お互いの好物の話しかできない気がする。現にランニングの話を振った途端、ぴよさんは随分と素っ気なかった。これでは別の視点から、ぴよさんの人柄を知ることができない。
"スペイン料理が好きなのですが、日本はなんちゃってバルが多いなと感じます。スペイン旅行の時に食べたお料理を、また食べたいです。なかなか本格的なスペイン料理に出会えず、残念です"
ちょうど今、上のぴよさんのメッセージに対して返信するところだった。このままスペイン料理の話を続けようと思ったが……僕は思い切って次の行動を起こすことにした。
一か八か、ぴよさんをスペインレストランに誘ってみよう。
時期尚早かもしれない。もう少しメッセージのやりとりをすべきかもしれない。ぴよさんは僕に会う気などないかもしれない。しかしこのままだといつまでも食べ物の話題以外できないし、婚活をしている身としてはもう少し踏み込んだ話を聞きたい。それに会ってみないとお互いのことを理解できないので、次のステップに進むには僕から動くしかないと思った。
"僕もスペイン旅行をした時に食べた、タパスやピンチョスの味が忘れられず、日本で美味しいスペインレストランを探していました。幸い本格的なスペインレストランに出会うことができ、時々利用しています。もしぴよさんがよければ、ランチまたはディナーに一緒に行きませんか?カフェ営業もしているので、お茶だけでも大丈夫です。気が進まなければ、遠慮なくスルーしてくださって構いません"
えいっと勢いに任せて送信した。ぴよさんに承諾して貰えたら嬉しいが、ダメな場合は潔く諦めて、次に進もうと思う。