「大変おめでたいことに、今回4組のカップルが成立しました!1番と30番の方、2番と29名の方、3番と28番の方、4番と27番の方です(番号は覚えていないので適当)!おめでとうございます!皆様大きな拍手をお願い致します!」
当然僕は、誰ともカップルにならなかった。
カップリングタイムが終わった後、終着地に到着するまで、参加者は思い思いに過ごしていた。いわゆる自由時間だ。といってカップル成立に至らなかった人たちの大半が、もうこのバスに用はないといった雰囲気だった。実際僕もそうで、早く帰りたいなという気持ちばかり。当然車内は特に盛り上がることもなく、まるで通勤中の空気みたいに静かだった。
バスは18時頃に、某ターミナル駅のバス乗り場に到着した。バスガイドさんや運転手さん、それにバス停で待機していた主催者さんにお礼を言って、僕はバスを下車した。ちらりと目に入った視界では、途中まで行動を共にした、ミヤギさん(沖縄)とナガタさん(嘔吐) とムラマツさん(ぬい活)が何やら楽しそうに話をしていた。ずいぶん仲良くなったんだな……と三人を尻目に、僕は逃げるように立ち去ろうとした。どうしても"出禁"を言い渡された後ろめたさが拭えなかったし、なんか罪悪感とかもやもやを感じていたし、同級生のクドウさんに話しかけられたくなかったからだ。すると……
「あの、ホピ沢さん!」
突然野太い声に呼び止められて、僕はぎょっとした。途中まで共に行動した男性メンバーの一人、B山(ハイブランド) が僕を追いかけてきたからだ。僕よりもずっと身長が高く、僕よりもずっとスタイルが良く、僕よりもずっと運動できそう……な見た目なのに、僕に向かって走ってくるB山(ハイブランド)の姿は、お世辞にもかっこいいとはいえない。失礼だが、鍛え抜かれた屈強な男なのに走る姿は……というギャップに、少し面食らってしまった。筋肉と運動神経は比例しないことを学んだ。
「B山(ハイブランド)さん、どうしましたか……?」
「あ、ホピ沢さん。よかった、まだ帰ってなくて」
「え……?」
「よかったら、これから飲みにいきませんか?」
え……!?
