ミヤギさんは、都内の写真スタジオで働く沖縄出身の37歳。お互い犬好きということもあり、5分間の会話は止まらずに弾んだと思う。しかし犬のことしか話さなかった……というか、犬の話題で何とか途切れさせずに話を繋いでいたので、ほとんどお互いのことはわからなかった。見た目はとても小柄で、明るくショートカットが似合う、可愛らしい女性だった。
「終了でーす。5分経ちました。ではお手数ですが、男性の方は立ち上がっていただき、移動をお願いします」
ミヤギさんに軽く会釈をしてから、僕は次の席に移動した。バスはもちろん、走行中。移動したりプロフィールカードを見たりと作業をしていたので、僕は少し酔ってしまった。決して僕は酔いやすい方ではないが、酔いやすい方は酔い止めなどを用意した方がいいと思う。
「よろしくお願いします」
「こんにちは」
一言声をかけて次の座席に座った……が、何だかすごく座席が窮屈だった。先ほどの席と座席の幅が違うのか?いやそんなはずはない……と思った次の瞬間、僕は目を見張った。
「オオハシでーす。よろしくお願いしまーす」
隣に座るオオハシという女性は……とてつもなく太っていたのだ。
「ホピ沢です。よろしくお願いします」
オオハシさんは……とにかく丸い。いや、驚くほど体型が丸すぎる。小柄ながらも100kgはありそうな丸さだ。例を挙げさせていただくと、某アナウンサー似を売りにしている、肥満の女性芸人のような体型だ。あの方よりも、もう一回り大きいかもしれない。座席が窮屈に感じるのも、致し方ないなと思った。
「ホピ沢さんの趣味……えー、飲み歩きですか!私も好きです!」
しかしオオハシさんは肥満体型だが、とても美人だった。色白で鼻が高く、目鼻立ちがくっきりしていて、明らかにハーフといった顔立ち。瞳の色は薄緑に近く、日本人離れしていた。
「普段はどこで飲む感じなんですか?私も結構飲み歩き好きなんですけど」
「蒲田が多いです。地元なので」
「えー、蒲田!この間行きましたよ!好きな漫画の聖地なんです!羽付き餃子も食べました!」
蒲田と言うと露骨に微妙な反応されることが多いが、オオハシさんは嫌な顔一つせず、にこにこしていた。
