「じゃあ私も正直に話しますね。そうです、ホピ沢さんの言う通りですよ。一回目に会った後、"ホピ沢ないなあっ"て思いました」
相変わらずDさんは、言葉を選ばない人だなと思った。
「ホピ沢さんとの蒲田飲み、本当にすごく楽しかったんですよ。私の無茶振りにも根気よく付き合ってくれる人ってそうそういないので、本当にホピ沢さんはいい人なんだなと思いました。だから最初は、次会ってもいいかな〜?くらいに考えてたんです」
「ホピ沢さんと蒲田で別れた後は、元々友達に会って飲む予定だったんです。そしたらホピ沢さんから、"ぬいぐるみ落とした"って連絡もらって。ぬいぐるみを落としたのは、わざとではないですよ。うっかりです。でも私としては、これで次回会う理由できたなあって軽く考えてたんです」
「でもホピ沢さんは次回にするとは言わず、"品川駅のホームまで届けに行きます"って言ったじゃないですか。なんか、ぞっとしちゃって。もしかして私、狙われてるんじゃないかなって怖くなっちゃって。もし品川駅で会ったら、やばいことになりそうって思っちゃったんです。それでぬいを犠牲にしてでも、もう会うのやめようと思いました。ぬいはまた買えばいいですからね」
「でもその後なんとなく気にかかるものがあって、友達に一連の出来事を話してみたんです。そしたら友達に、"ホピ沢さんって人は、善意で届けようとしてくれたんだよ。Dの勘違いだよ"って指摘されて。友達5人に聞いたんですけど、5人全員が"ホピ沢さんはいい人"って評価だったんです」
「それで、自分のズレてる感覚にようやく気づいて、もう一度ホピ沢さんに会おうと思いました。でもまさかホピ沢さんに、"今更連絡もらって困惑している"と言われるなんて思わなかったので、私も困惑しています」
……やはり僕の"ぬいぐるみを返すために品川駅に行く"という行動は、よくなかったのか。
Dさんの気持ちを聞いた今、僕は改めて自身の選択が、Dさんにとってはよくなかったのだと痛感した。だからといって別に、悔いているわけではない。僕は自分の信念に沿って行動したが、それを下心だと思う人もいるんだなと学んだ。
それよりも……何故Dさんはこんなに自信満々なのだろう。
" "今更連絡もらって困惑している"と言われるなんて思わなかったので、私も困惑しています"
普通こんなこと、相当な自信がないと言えないと思う。 色々カチンとくるものがあったが、僕はぐっと堪えた。そしてある疑問をぶつけた。
「僕は、ますます困惑しています。差し出がましいですが、何故Dさんは僕に、"今更連絡もらって困惑している"と言われるなんて思わなかった、と思われたんですか?」
