「なんか、がっかりしちゃいました。同時進行してたから連絡くれなかったんですね。ぬいのことも、もっと早く連絡欲しかったのに。私、待ってたんですよ?」
連絡を待ってた……?
おい、D!嘘つくんじゃねーよ!ぬいぐるみを返したいと連絡をした僕を1ヶ月弱無視したのは、お前じゃねーか!
空いた口が塞がらないとは、まさにこのことだ。
「あの……この度は連絡が遅くなってしまったこと、Dさんのお気持ちに添えなかったこと、大変申し訳ありませんでした」
「うん」
おい、D!うん?うんってなんだよ!なんでちょっと上から目線なんだよ!しかもなんで僕が悪い空気になってんだよ!僕が謝ってる理由は、事を荒立てたくないからだよ!
「……ですが僕の思い違いでなければ、僕がぬいちゃんをお返ししたいと連絡した時、Dさんから1ヶ月ほど連絡をいただけなかったと思うのですが……」
「……ホピ沢さんは同時進行してるんですか?何人と?不誠実じゃないですか?」
おい、D!都合の悪い質問は無視かよ!答えろよ!
「同時進行はしてないですけど……」
Dさんが纏う空気は、とてつもなく厳しいものだった。あからさまに、不愉快で不機嫌という表情をしている。Dさんに咎めるような口調で問われ、僕は躊躇いつつ返答したが、内心は納得いかず、もやもやしていた。
「僕の質問で不快にさせてしまい、申し訳ありません。Dさんがどのような方法で婚活されているのか、興味がありましたので……」
「だからその質問自体が失礼だと思いませんか?私たち一応、マッチングしたんですよ?それなのに、他の相手探してますか?って普通聞きますか?」
……僕はおかしな質問をしてしまったのだろうか。
僕の質問の何が悪かったのか、正直よくわからなかった。例えば僕とDさんがいい雰囲気で交際一歩手前のような関係だったら、この質問はしない。しかし、僕とDさんは、今現在未来を見据えた関係ではないのだ。
マッチングしたといっても、所詮はビジネスマッチング。そもそも僕からアプローチしたこともなければ、Dさんからもそういったアクションは一切ない。ぬいぐるみの件がなければ、二回目の会合を決行したかわからない間柄だ。今この瞬間にでもすぐに切れそうな、脆い縁で繋がっていると思う。そういう相手に、"その後婚活していますか?"と聞くのは、失礼なのだろうか。元々僕たち出会いは、婚活パーティー。婚活の話題が出ても自然だと思うのだが……。
「デリカシーないですよ、ホピ沢さん」
「……ごめんなさい」
Dさんは僕のことを一応マッチングした相手と言うが……もし仮にDさんがマッチング相手として僕に好意を持っているのなら、これまでのDさんの言動は不可解でしかない。普通は、好意を持っている相手の連絡を無視しないだろう。
だから僕は、なんでDさんは怒っているのか、そしてなんで僕はDさんに怒られているのか。何一つ、理解できなかった。
