案の定、休日のお昼のドトールは満席だった。当たり前すぎる。
「え?え?満席?本当ですか?」
考えなくても想像つくだろ、と突っ込みたかったが、あすぴょんさんは大真面目に不思議がっていた。満席のはずがないと言わんばかりに、何度も店内を覗いている。僕はそのあすぴょんさんの様子が、本当に不可解だった。休日のお昼のチェーン店のカフェ……なんで空席があると思えるのだろう。しかもここは田舎ではない、ターミナル駅の大宮駅だ。席が空いていたらラッキー……と考えるのが普通ではないのか?
「違うカフェに行きましょうか。探してみますね」
オロオロするあすぴょんさんにそう言って僕はスマホで検索したが、内心はもやもやイライラしていた。初対面の相手とカフェを求めて途方に暮れる。スマホ片手に立ち尽くしている自分が、何だか滑稽だった。
"わざわざ調べてくださってありがとうございます。実は私、大宮駅周辺でよく利用するカフェがあるんです。ホピ沢さんがよければ、そのカフェはどうでしょう?"
あすぴょんさんのメッセージに何の疑問も持たなかった自分が悪いのだが、やはり予約ができるカフェを提案しておくべきだった。僕は隣でただ首を傾げているだけのあすぴょんさんにがっくりしながら、ひたすら検索をする。もうこの際カフェに拘る理由はない、今からでも予約可能な飲食店を探そう。