RINANANさんの他に僕にメッセージをくれた方は、36歳のあすぴょんさん。あすぴょんさんは、埼玉出身、埼玉在住。物流会社で事務業務をしているそうだ。
メインのプロフィール写真は、ハムスターを手のひらで抱っこしているものだった。胸の下くらいの長さのうっすら茶髪ストレートロングヘア、白のタートルネックにVネックのワンピース。目元は切長の一重で、親しみやすい笑顔の女性だった。
"ホピ沢さん、はじめまして。写真のわんちゃん可愛いですね。ホピ沢さんもわんちゃんも、素敵な笑顔だなと思いました。ホピ沢さんは食べることがお好きとのことですが、私も大好きです。特にパンが大好きで、毎日パンを食べることに幸せを感じます。ホピ沢さんはお好きなパンはありますか?"
このメッセージを読んで一番嬉しかったのは、あすぴょんさんが僕の実家の犬に注目してくれたことだ。お世辞だとわかっていても、犬を可愛いと言われて悪い気はしない。あすぴょんさんもハムスターを抱っこしているのだから、きっと動物が好きなのだろう。いずれはペットと暮らしたいと思っているので、あすぴょんさんに対して好感を持った。
早速返事を書こうと思ったが、僕はちょっと悩んだ。あすぴょんさんに好きなパンを聞かれたものの……これといって特にない。パンは好きだが毎日は食べないし、こだわりもない。気が向いたら、駅直結のベーカリーチェーンか、地元のパン屋で買う程度。しかも買うのは大体食パンで、菓子パンや惣菜系などは冒険しない。要するパンは好きでも、食パンが好きなのだ。
パン好きのイメージは、パン屋に詳しくベーカリー巡りが趣味。あすぴょんさんもきっと、パンの知識が豊富なのだろう。難しそうなパンの名前も、もちろん知っているはずだ。そういう方に、「食パンが好き」というのは気が引けた。地味すぎる。いやでも、自分をオシャレに見せたいがために、例えば食べたこともない「クイニーアマンが好きです」、と嘘を言うのはもっとダメだ。
"メッセージありがとうございます。ハムスターお好きなんですか?僕は小学生の頃に、ハムスターを飼っていました。ぽてぽてしている姿が可愛いですよね。好きなパンは食パンです。パン屋さんのパンは、すごく美味しそうなのでつい迷ってしまいますが、結局選べず無難な食パンを買ってしまいます。あすぴょんさんのお好きなパンはなんですか?"
といった内容を綴って、メッセージを送った。 すると1時間も経たずに、あすぴょんさんから返信がきた。