ログインしていない間に頂いた4通全てのメッセージに目を通した僕は、その中の一人であるサリーさんに興味を抱いた。
"ホピ沢さん、はじめまして。サリーと申します。随分前にマッチングしたにもかかわらず、メッセージを送るのが遅くなってしまいました。お酒はあまり強くないのですが、食べることが大好きなので、同じく食べることが好きなホピ沢さんとお話ししたいなと思いました。一番好きなジャンルは韓国料理で、休日は新大久保でよく食事をしてます。よろしくお願いします"
サリーさんは都内で学童指導員をしている、36歳。新潟出身で大学進学を機に上京、以来都内在住だそうだ。メイン写真は、満開の桜の木の下でピースをしているものだった。髪は肩より下で、毛先が緩く巻かれている。すらっと背が高く、美人だった。写真の中でサリーさんは丈の長いワンピースを着ているのだが、長身の彼女にはよく似合っていた。
サリーさんのサブ写真には、某ロックバンドのライブ会場前で撮影した写真、スキー場で撮影した写真、カフェでケーキを眺めている写真など色々あったが、中でも度肝を抜いたのが、キョンシーと思しきコスプレをしているものだった。何でも某ロックバンドのボーカルがハロウィンの時期に主催する、ハロウィンライブに参加した時に撮影した写真らしい。頬に施した傷メイクや口から血を流したメイクは、とても本格的だった。確かにハロウィンライブなのだから、仮装してライブに参戦した方が、気持ちが盛り上がるし、一体感も味わえる。サリーさんの全力にびっくりしたが、多彩で面白そうな人だと思った。
また頻繁に新大久保で食事をしているだけあって、趣味はK-POPを聴くこと。好きなアイドルグループの名前が書かれていたが、K-POPに疎い僕にはわからなかった。一応僕が大学院生の頃、妹が某K-POPアイドルのファンだったので、そのグループの曲だけはなんとなく馴染みがあるが……最近の韓国アイドルはさっぱりだ。
さらに、サリーさんは食べることも好きだが、料理を作ることも好きらしい。特に韓国料理を作ることにハマっているようで、韓国人youtuberの料理動画を参考にして、韓国のおかずを作っているそうだ。サブの写真には、自作と思われる韓国のおかずが載っていて、美味しそうだった。
早速サリーさんに返信することにした。
