ぴよさんに好印象を抱いた次の瞬間、画面の上部に“ぴよさんからメッセージが届いています”と、通知が来た。え!っと思わず前のめりになってしまった。メッセージをもらえて嬉しい反面、戸惑いもあった。事がとんとん拍子に進みすぎている気がしたからだ。いや自分がついていけていないだけで、これがマッチングアプリというものなのかもしれない。
すると間髪入れずに、“まちこさんとマッチングしました!”と表示された。まちこさんもまたぴよさんと同様に、僕が無意識のうちに“いいね”を送ってしまった女性の一人だった。申し訳なさを感じながらまちこさんのプロフィールを確認しようとした時、“まちこさんからメッセージが届いています”と通知された。
ほぼ同じタイミングで、二人の女性からメッセージをもらった。
これは素直に喜ばずにはいられない。メッセージ数が2と通知され、知らず知らずの間に口元が緩んでしまった。しかし嬉々としてメッセージを開封しようとした僕は、ここで初めてマッチングアプリの洗礼を受ける。
有料会員にならないとメッセージを開封できないのか……。
どうやら無料会員の男性は、使用できる機能が制限されているらしい。検索すること、“いいね”を送信すること、そして女性とマッチングするまでは無料でも可能。しかし有料会員にならないと、メッセージを開封することも、メッセージを送ることもできない。要は有料会員にならないと、女性に連絡ができないのだ。
婚活パーティーや結婚相談所等の婚活方法と比較すると安価だが、普段課金をしない僕にとって"アプリに課金"と思うと、1ヶ月あたりのお値段がなかなかだなと感じた。しかし無料でできる婚活などないし、背に腹は代えられないので、有料会員の登録を済ませた。
こうしてメッセージ開封の準備が整った。まずは一番上に表示されている、まちこさんのメッセージを確認した。
“ホピ沢さん、はじめまして。まちこです。女性ばかりの職場で出会いがなく、アプリに登録してみました。犬を抱っこしているホピ沢さんが優しそうだなと思いメッセージを送りました。よろしくお願いします。”
続いてぴよさんのメッセージを確認した。
“ホピ沢さん初めまして!ぴよと申します。私も食べる事が大好きなので、ホピ沢さんと仲良くなれそうだなあと思い、メッセージを送らせていただきました。おすすめのお店など、グルメのお話しができたら嬉しいです。よろしくお願いします。”
まずは2人に返事をしてみようと思う。