僕に"いいね"を送ってくださった方々のプロフィールを拝見しようとした次の瞬間、スマホ画面一面に「ぴよさんとマッチングしました!」と表示された。
僕は、"ぴよさんとマッチングしました!"の文字を凝視した。画面にはハートマークを隔てて、僕の写真とぴよさんの写真が並んでいる。
しかし失礼ながら僕は、ぴよさんの写真に見覚えがなかった。見覚えがないということは、当然ぴよさんに"いいね"を送った記憶もない。
おそらくぴよさんは、僕が仕組みを理解せずに無意識に"いいね"を送ってしまった一人なのだろう。"いいね"を送った僕のプロフィールを見て、ぴよさんは僕に"いいね"を送ってくれたのだ。
使い方がわからなかっただけで、決して遊び半分で"いいね"をしたわけではなかったが、結果的に不誠実な振る舞いをしてしまい、すこし心が痛んだ。
良縁に巡り合うために、写真写りがいい写真をプロフィール画像に選ぶ方が多い中、ぴよさんのプロフィール写真はとても個性的だった。いや、自然体というべきかもしれない。ぴよさんは、ランニングウェアにレギンスというスポーティーな格好で、ジャンプをしているのだ。ジャンプといっても微笑ましいタイプのジャンプではなく、言うなればスーパーマリオのように思いっきり飛び上がるようなアグレッシブタイプのジャンプ。大胆にジャンプをするぴよさんの写真に、僕は吹き出してしまった。
一瞬ふざけているのかと思ったが、メイン写真以外の他の写真は一般的なものだった。ビールジョッキを持っている写真、大盛りチャーハンを前に笑顔を浮かべる写真、犬を抱っこしている写真など、どれも可愛らしい表情だった。ぴよさんは、ジャンプ写真よりも断然メイン向きの写真を、サブ写真に登録しているのだ。
どうしてジャンプ写真をメインにしたのだろうか。決してジャンプ写真が悪いわけではないし、むしろ面白いと思うが、面食らう男性は多いだろう。僕もその一人だ。
ジャンプ写真はこの辺にして、ぴよさんは都内在住の35歳。職種は会社員。結婚歴はない。僕が苦手な煙草も吸わないそうだ。
ぴよさんの自己紹介文は、出会いに対する真剣度が伝わってくる内容だった。特に好感を持ったのは、"一緒に美味しいものを食べたり、お腹抱えて一緒に笑うくらい楽しい時間を共有できる方大募集!"という部分。
僕も同じ気持ちなので、気が合いそうだと思った。ちなみにぴよさんの好みは、お酒に合う食べ物だそうだ。もし仲良くなれたら、一緒に楽しくお酒が飲めるかもしれない。
ぴよさんに好印象を抱いた次の瞬間、画面の上部に"ぴよさんからメッセージが届いています"と、通知が来た。
