マッチングアプリの登録必要事項を全て入力し終えると、僕のプロフィールをもとに15人の女性の写真が順々に表示された。
現段階で相手についてわかることは、女性の顔と年齢と居住地のみ。他の情報は掲載されていないため、外見で判断するしかない。容姿にピンとこない場合は、顔写真をスワイプして次に進む。これがマッチングアプリか……と納得しつつ、自身の顔も同じように女性側に表示され、ジャッジされているのだなと思うと、恥ずかしくなった。
表示された15人の女性達は、当たり前だが様々だった。カフェでコーヒーを飲んでいる女性、街中華で蓮華を持っている女性、猫を抱いている女性、背景が一切わからないくらいドアップの女性、海をバックにピースをしている女性。
中には顔を載せずに食べ物の写真の女性もいたし、後ろ姿のみの女性もいたし、サクラではないのか?と疑念を持ってしまうくらい綺麗な女性もいた。
好感を抱いたのは、登山中に撮影したと思われる女性の写真だった。背後にそびえ立つ山を指差しながら、笑顔を浮かべていた。明るくて楽しそうな印象を持った。
早速女性の写真にアクションするべきなのだが、外見だけではいいねボタンを押せないというのが、正直な心境だった。
と言うのも、僕は基本の登録を済ませただけで、肝心の自己紹介文等は未完成の状態。本人確認も済ませていない。先に女性の顔写真が表示されたため、まだ自身のホーム画面も見れていない。そんな状態で動くよりも、まずはプロフィールをきちんと完成させることにした。その上で僕のプロフィールとご縁ありそうな女性と、マッチしたらいいなと思った。
そんな訳で勧められた15人の女性の顔写真は一旦見送り、まずは自身のプロフィールを完成させた。将来を見据えた出会いを求めていることを明確にした上で、性格や仕事、趣味、特技、休日の過ごし方、恋人ができたらどう過ごしたいか……などを綴った。特に趣味であるグルメ巡りについては気合いを入れて書き、"一緒に食事やお酒を楽しみたい"ということを強調した。
準備が整ったので、早速検索機能を使ってみた。年齢、身長、職業、年収、体型等、さまざまな項目から検索することができる。少しでも出会いの可能性が欲しいので、検索範囲を狭めない方がいいなと思った。
女性の年齢を僕と同世代である35〜40歳、首都圏在住に設定。そして結婚の意思の項目に、チェックを入れた。あと僕は煙草が苦手なので、非喫煙者を希望した。それ以外の項目は、とりあえずこだわらずに検索してみた。
するとすぐに、僕の希望に該当する女性の写真が複数出てきた。ただ黙って眺めているだけでは、何も始まらない。まずは”いいね”を送ってみようと思い、目に留まった女性に"いいね"を送った。
使い方をよく理解していなかったのか、知らない間に多くの女性に"いいね"を送っていたらしい。"いいね"を送れる回数が限度になり、ポイントを消費しなければ"いいね"を送れなくなってしまった。
身動きがとれなくなったので、時間置いてまた再開することにした。
