「ホピ沢さん、お願いしますよ。ナガタさん(嘔吐)さんに送る文面を、一緒に考えてください!奢りますから!」←B山(ハイブランド)
「B山(ハイブランド)さん、僕じゃ無理ですよ。それに僕に聞かなくてもそういうの得意じゃないんですか?恋愛豊富そうです。これまで色々な女性に送ってきたのでは?」
「だったら今ここにいませんよ!もちろんそういう時期もありましたけど!」←B山(ハイブランド)
目の前でB山(ハイブランド)が頭を抱えて、ナガタさん(嘔吐)さんに送るラインを考えている。それを困惑して眺めていた矢先、僕のスマホにはなんとナガタさん(嘔吐)さんからラインがきていたのだ。
「こんばんは。婚活バスツアーでご一緒させていただいた、ナガタです。今日はお疲れ様でした。行きの車内で具合が悪くなった時に、助けてくださりありがとうございました。ホピ沢さんには大変ご迷惑をおかけ致しました」
え!? ナガタさん(嘔吐)さん!?なんで!?
見慣れないアイコンだったこともあり、なんだろうとすぐに既読をつけてしまったことが悔やまれる。僕はスマホをそっと閉じて、とりあえずB山(ハイブランド) に集中した。しかしなんだかB山(ハイブランド) を裏切っているようで、胸がざわざわした。別にナガタさん(嘔吐)と、どうこうなっているわけでもないのに。
「ホピ沢さん、これでどうでしょうか?チェックしてください」←B山(ハイブランド)
40過ぎたおっさんが、今から女性に送るラインをチェックして欲しいってどういうことだよ。しかもチェックする側も、40過ぎたおっさんだ。
「こんばんは〜😃✨今日は1日おつかれさまでした🙇🙏💦いろいろお話しできて楽しかったです😆わんちゃん可愛かったですよね🐕🐩🐾💓♬実家のわんこを思い出して、近々実家に帰ろうと思いました🚄🏃💨わんちゃんにすごく興味持たれてましたよね🐶💖もしよければ、今度飲みor犬カフェに行きませんか❓🐕🦺ホピ沢さんとムラマツさん(ぬい活)の4人で❣️❣️」
……。
正確なことは覚えていないが、文章はこんな感じだったし、絵文字はもう少し多めだった気がする。ラインのスタンプも多用しまくっており、彼の画面は賑やかで、キラキラした何かが所狭しと並んでいた。文末に必ず絵文字を2〜3個つける習性はガラケー世代にありがちだが、何も今もそれを律儀に継承しなくてもいいのではないかと思う。
「どうですか?」←B山(ハイブランド)
僕が偉そうに言えることではないけれど……このラインは……ちょっと……
「『ホピ沢さんとムラマツさん(ぬい活)の4人で❣️❣️』じゃないですよ!僕は行きませんって!」
「なんでですか!一緒に行きましょうよ」←B山(ハイブランド)
「……行きません。あともう少し絵文字やスタンプを控えて、落ち着いた文章にしてみませんか?」
「え?でも女性はかわいい絵文字とかスタンプが好きですよね?」←B山(ハイブランド)
「そうかもしれませんけど……B山(ハイブランド) さん、仕事関係とか、同僚や上司に、こういうラインは送らないですよね?」
「はい」←B山(ハイブランド)
「今B山(ハイブランド) さんとナガタさん(嘔吐)は、仕事先よりも距離がある仲なんですよ。あまり仲良くない人からいきなりキラキラしたラインが来たら、びっくりしませんか?少し抑えて、もう少し仲良くなった時に絵文字を爆発させればいいんじゃないでしょうか」
……などと平然と返答している僕だったが、内心は焦っていた。B山(ハイブランド) と話している最中に、続けてまたナガタさん(嘔吐)からラインが来たのだ。
「改めて今日のお礼をしたいので、お忙しいところ申し訳ないのですが、お時間作っていただけないでしょうか」←ナガタさん(嘔吐)
ど……どういうこと……!?
